1991 Fiscal Year Annual Research Report
多糖のマクロ配向ゲル:その構造発現に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03650727
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横山 文義 岡山大学, 工学部, 助手 (50174876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 薫 岡山大学, 工学部, 教授 (80013506)
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Keywords | 多糖 / ゲル / アルギン酸 / 金属錯体 |
Research Abstract |
本研究においては、ゲル化能を持つ多糖の中で、金属錯体形成をとおしてゲル化する性質を持つアルギン酸をとり上げた。ここでは、アルギン酸ソ-ダの2〜3%の水溶液をガラス細管内を流動させ、Ca、Cu、Zn、Pbの2価金属イオン水溶液の中に押して出して,マクロに光学異方性を示す円柱状の金属錯体配向ゲルを得た。これらゲルにおける流動ならびに金属イオンの分子配向効果、構造形成効果について、偏光顕微鏡、X線回折、走査型電子顕微鏡、引張り試験などの手段により検討した。以下にその概要を示す。 流動下のアルギン酸ソ-ダは、流動速度とともにコイルから延伸鎖への形態変化が増す。しかし管壁に沿う配向の傾向が強い。ゲルでの分子配向は流動下の分子配向を幾分反映するものの、ダイスウエルや縦方向の収縮のため全体としては流動方向に対して垂直にわずかに傾く。ゲル化時のこの変形と配向歪みは、Zn>Ca>Cu>Pbの順に低下する。これらゲルの異方性は、このゲル化時の影響を受けて低速域で最も高い。錯体形成により鎖は棒状鎖への転移し、その高い配向能がゲルの異方性を大きく支配している。ゲルの異方性は、Zn<Ca<Cu<Pbの順に高い。これは糖残基と金属イオンとの結合性の違いが根底にある。Pb、Cuイオンはアルギン酸を構成するグルロン酸、マンヌロン酸両残基に対してほぼ同等の結合性を示す。一方、Ca、Znイオンはマンタロヌロン酸残基に対する結合性がグルロン酸残基に対するそれより低い。このような差異もゲルの異方性の違いに関わっている。ゲルは全体的には、円筒状多層シ-トからなる。このシ-ト内での棒状鎖の配向が、マクロな異方性に結びついている。配向緩和は数秒以内におさまることから、流動の分子配向効果はゲルの表面附近に限られる。ゲル内部での配向構造発現に対して鎖の伸長、脱水和、金属ー鎖間結合などからなる機構を提案し考察した。
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[Publications] 横山 文義: "アルギン酸金属錯体ゲルの配向構造" 高分子学会予稿集. 40. 622-622 (1991)
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[Publications] 横山 文義: "アルギン酸金属錯体ゲルの配向構造" 高分子学会予稿集. 40. 4150-4152 (1991)
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[Publications] F.Yokoyama: "Morphology of oriented calcium alginate gels obtained by the flowーgelation method" Polymer. 16. 2911-2916 (1991)