1992 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド類の高分子膜の膜透過と選別輸送の分子機構
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03650733
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Research Institution | Meiji Univerity |
Principal Investigator |
仲川 勤 明治大学, 理工学部, 教授 (60139459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 亜紺 明治大学, 理工学部, 助手 (30189766)
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Keywords | ステロイド / 高分子膜 / 透過性 / 拡散 / 選択透過性 / 含水膜 / 溶解度パラメータ |
Research Abstract |
今年度は高分子膜として、poly(γ-methyl-L-glutamate)以下PMLG、poly(L-leu-co-Llys)臭化水素酸塩、以下copoly(Lleu-Llys)、poly(trimethylsilyl propyne)、以下PMSP、親水性を有する糖鎖を結合させたポリヂメチルシロキサン、以下糖-PDMSの膜を合成して用いた。さらにキトサン膜をアセチル化した膜を用いた。透過係数および選別輸送の測定は、透過セルを用い、ステロイドの飽和溶液を入れ、透過側の濃度変化を紫外吸収スペクトルにより37℃で追跡して行った。 これらの膜のうち、前年度で研究したスチレンスルホン酸-メチルメタクリレート共重合体、以下copoly(SSA-MMA)、の膜と含水率の類似しているPMLG,copoly(Lleu-Llys)膜アセチル化キトサン膜との透過係数を比較すると、前者より後者の膜が、いずれも低い透過係数を示した。また疎水性のPDMSを改質した親水性の糖-PDMS膜に対するステロイドの透過性はcopoly(SSA-MMA)の透過性と類似していた。さらに、典型的な疎水性高分子膜で気体集散係数がPDMSと同レベルで溶解度係数が一桁高いPMSP膜では、疎水性のステロイドの透過係数が一桁高く、前年度の研究で得られた結論が確認された。すなわち、含水性の膜においては、水和部分への溶解と拡散性が選別なくステロイド類の透過を支配し、疎水性膜においては、疎水性のステロイドの膜への溶解性を支配し、ステロイドの選別輸送をもたらすものである。含水率が同じ膜でも、膜のヘリックス構造、水素結合の存在により拡散性が低下し、透過性が制御される。 高分子膜に対するステロイドの透過性が膜への溶解性により制御される系において、透過速度を予測する式を検討し、これに用いる溶解度パラメータを計算した。copoly(SSA-MMA)膜の系において、実測値と予測値の間には比較的よい一値が見られた。
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[Publications] 任 秀英・阿部 元治 樋口 亜紺・仲川 勤: "側鎖に糖質を有する高分子膜の合成及びその溶質透過性" Polymer Preprint. 41,No.8. 3334-3337 (1992)
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[Publications] 仲川 勤・石塚 勝敏 樋口 亜紺: "側鎖に糖質を有するポリジメチルシロキサン膜の合成及びその溶質透過性" 日本膜学会第15年会 発表予定.