1991 Fiscal Year Annual Research Report
Michael付加により開始生長する軸不斉配位子錯体を用いた不斉重合
Project/Area Number |
03650738
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
武石 誠 山形大学, 工学部, 教授 (20007214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 力哉 山形大学, 工学部, 助手 (30187257)
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Keywords | マイケル付加 / メタクリル酸エステル / マレイミド / ブチロラクトン / 開環重合 / 不斉重合 / 光学活性ポリマ- |
Research Abstract |
チオフェノ-ルはラジカル重合における連鎖移動剤として用いられ、一方、酸化剤との組み合せによりレドックス重合の開始剤となる。本研究においてチオフェノ-ルが単独でメタクリル酸エステルやNー置換マレイミドのようなα,βー不飽和化合物の重合を開始することを見出し反応機構を解明するため一連の実験を行った。その結果チオフェノ-ルがそれらモノマ-にMichael付加することによりアニオン型の重合が開始されることを明らかにした。この重合においてアルミニウムアセチルアセナ-トのような錯体が重合を促進することがわかり、各種のアルミニウム錯体の効果をしらべた。遷換クレゾ-ルを配位子とする錯体は重合を著しく促進したが、これは錯体によるモノマ-の活性化によるものである。また、置換ビナフト-ルを配位子とする錯体は重合を抑制したが、これはポリマ-の生長エノレ-ト末端がそれら錯体に配位して安定化されるためである。そこで軸不斉置換ビナフト-ルを配位子とする錯体を用いて、アクリル酸トリフェニルメチルを重合し、生長末端の錯体への配位による不斉重合を検討した。しかしアクリル酸トリフェニルメチルの重合は進行しなかった。さらに軸不斉置換ビナフト-ル錯体を用いてβーブチロラクトンの開環重合を検討したところ光学活性ポリマ-が得られた。これはラクトンの開環により生ずるアルコラ-ト末端が不斉錯体のアルミニウムに配位するもので、生長のために付加するモノマ-の配位が立体不斉の規制を受けるために不斉重合が進行したもので新しいタイプの不斉重合であることがわかった。
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