1991 Fiscal Year Annual Research Report
生物認識機能をもつ生体機能材料に関する糖質工学的研究
Project/Area Number |
03650746
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 一清 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 鉦彦 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023103)
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Keywords | 動的天然物化学 / 精密構造認識 / 合成多糖 / 細胞表層多糖 / 糖質高分子化学 / 構造制御合成 / 糖質工学 / 細胞特異性高分子 |
Research Abstract |
オリゴ糖や多糖の、分子認識・細胞認識に基づく精妙な分子生体機能の本質を活用して、新しい生医学材料や生理・薬理活性物質を創出すること目指して。「糖質高分子化学」を提唱しその展開を実践してきた。有機化学や重合化学の理論と、糖質化学や生物化学の手法とを活用して次の成果を得た。これらの機能多糖には、糖鎖が認識信号として濃密に組み込まれている。低分子物質とは異なった特有の動的精密構造認識の発現を期待したい。(1)アンヒドロ糖誘導体の開環重合を経由して3ーデオキシー3ーフルオロ-(1→6)ーαーDーグルコピラナンを合成した。低分子の糖質にフッ素原子を置換することによって特異な生理活性や薬理活性が発現することや、フッ素を置換した合成高分子材料が高性能化および高機能化されることはよく知られている。しかし、今回合成したようなデオキシフッ素化した明確な構造をもつ多糖はいままで全く報告例がない。抗体や酵素への取り込みの解析のためのモデル物質として特異な機能を発揮するのではないかと考えている。(2)アシアロ糖タンパク質レセプタ-を経由する肝細胞の興味ある組織形成挙動を見出した。(3)クラスタ-型糖鎖をもつ2種類の糖鎖高分子を合成した。(4)酵素合成法を組み合わせて3種類の糖鎖結合ビニルモノマ-を合成した。糖質加水分解酵素を用いて糖鎖交換反応を行って糖鎖を伸長させる研究が、最近やっと可能となってきたが、それを高分子物質の合成に適用した例はほとんどないので、この分野を先導する研究である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 戸辺 成四郎: "人工マトリックス材料上での肝細胞多層集合体の形成機構と機能性評価" 人工臓器. 20. 150-155 (1991)
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[Publications] 戸辺 成四郎: "人工基質材料(PVLA)の設計による肝細胞多層集合体の形成制御ーハイブリッド型人工肝臓の開発に向けてー" バイオインダストリ-. 8. 90-101 (1991)
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[Publications] 戸辺 成四郎: "人工臓器高機能化へのチャレンジーハイブリッド型人工肝臓ー" 繊維学会誌(「医用材料の最近の進歩」特集号). 47. 133-141 (1991)
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[Publications] 小林 一清: "ラクト-ス誘導体を側鎖にもつポリペプチド" 高分子論文集(生体機能材料特集号). 48. 253-256 (1991)
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[Publications] K. Kobayashi: "OligosaccharideーSubstituted Polystyrene as a Model System of LigninーCarbohydrate Conjugates" Proceedings of 6th International Symposium on Wood and Pulping Chemistry. 1. 27-31 (1991)
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[Publications] 小林 一清: "長鎖アルキル基をもつ多糖の合成と機能" 油化学(「糖脂質」小特集号). 40. 379-383 (1991)
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[Publications] M. Goto: "Model Study of Hepatocyte Targeting Polymeric Super Molecular Assembly as Drug Carrier" Chem. Lett.1992. 123-126 (1992)
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[Publications] K. Kobayashi: "An Application of Glycotechnology to a Hybridーtype Artificial Liver System" Abstracts of International Bio Symposium 92 Nagoya. 231-240 (1992)
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[Publications] 小林 一清: "「新しい機能性高分子の分子設計」" シ-エムシ-, 20 (1991)
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[Publications] K. Kobayashi: "Polymer Yearbook" Gordon and Breach,Science Publishers,Inc., 6 (1991)
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[Publications] K. Kobayashi: "Polymer Yearbook" Gordon and Breach Science Publishers,Inc., 8 (1991)
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[Publications] K. Kobayashi: "Biotechnology" Plenum,
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[Publications] K. Kobayashi: "Polymer Yearbook" Gordon and Breach Science Publishers,Inc., (1992)