1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650755
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 宏 東北大学, 工学部, 助教授 (10168479)
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Keywords | ゾル-ゲル転移 / 電解質多糖 / スケ-リング則 / 臨界指数 |
Research Abstract |
高分子のゾル-ゲル転移は、その際のレオロジ-特性の大きな変化を利用し、多くの化学製品に利用されている。近年ではこの転移を2次相転移現象と捉え、転移の際の巨視的物性の変化を普遍的に記述しようとする動きがある。スケ-リング則はその一つ手段として、適用性が検討されてきたが、電解質高分子系に対する適用例は僅少である。本研究では電解質高分子として電解質多糖類に注目し、種々の金属塩を添加した際のゾル-ゲル転移についてスケ-リング則適用性を検討し、さらに錯体構造とレオロジ-特性の関連性についても言及した。電解質多糖としてはグルロン酸Naとマンヌロン酸Naの共重合体であるアルギン酸Na及びガラクツロン酸Naの重合体であるペクチン酸Na、金属塩としてはCa^<2+>、Cu^<2+>、Co^<2+>等の塩化物を用いた。はじめにこれらの金属塩を添加した際の粘度の変化を調べた。アルギン酸Naに対してはCuCa、Coの順にゲルを化し、一方ペクチン酸Naに対してはCa、CuCoの順にゲル化する結果となり、ゲル化能の序列に相違が認められた。そこで^<13>CーNMRにより金属イオンの結合部位を調べたところ、Caはグルロン酸及びガラクツロン酸に選択的に配位し、Cuは糖鎖に選択性のないカルボキシル基への配位が明らかになった。従って、この微視的な錯体構造を考慮するによって、ゲル化能の相違が説明されることがわかった。またゲル化点近傍における粘度の変化に対してスケ-リング則の適用を試みたところ、その適用性が認められ、臨界指数はいずれも1.0±0.3程度の値が得られた。そこでゲル化の機構の異なる他の系に対する粘度の臨界指数の報告例と比較したところ、同程度の値となることが見いだされた。さらにゾル-ゲル転移におけるもう1つの巨視的物性である弾性率指数に対しても比較を行ったところ、同様な結果が得られ、臨界指数は普遍的な値を有することが示唆された。
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