1992 Fiscal Year Annual Research Report
バイオアフィニティメンブレンの合成とそのタンパク質選択的吸着性能の速度論的評価
Project/Area Number |
03650758
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 恭一 東京大学, 工学部, 助教授 (90158915)
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Keywords | アフィニティ / 膜 / グラフト重合法 / リガンド / タンパク質 / クロマトグラフィー / 破過曲線 / 溶出曲線 |
Research Abstract |
培養液などのバイオプロセス溶液から有用なタンパク質を分離精製する手段の一つとして、アフィニティクロマトグラフィーが用いられている。これまでのアフィニティ吸着剤は、多糖類をリガンド(親和性配位子)の支持体とするビーズ状吸着剤である。タンパク質が通過できる物理構造を有する精密濾過膜にリガンドを導入し、溶液を膜に強制的に透過させてタンパク質とリガンドの接触を容易にすることが有効である。本研究では、精密濾過用の中空糸状多孔性ポリエチレン膜にリガンドとして疎水性アミノ酸を導入する新しい手法を提案した。アフィニティメンブレンの合成プロセスは、前駆体のグラフト重合反応、疎水性アミノ酸の導入反応という2つの反応からなる。膜にタンパク質を速く、多く捕捉するために、膜の合成、物性および性能評価を化学工学の立場からおこない、最適なバイオアフィニティメンブレンのリガンド密度および物理構造を決定した。昨年度までに,気相グラフト重合法によるアフィニティ膜の合成とそのタンパク質吸着性能の評価をおこなった。その成果を基にして、平成4年度は以下の実験を実施した。(1)アフィニティ膜の物理構造とタンパク質吸着性能との関係の検討:膜厚および細孔径が異なる精密濾過膜を基材として,アフィニティ膜を合成し,そのタンパク質吸着速度の比較と解析をおこなった。(2)血しょう中の病因タンパク質への選択吸着性能の評価:トリプトファンとフェニルアラニンは,筋無力症やリュウマチの難病患者の血しょう中の病因タンパク質にアフィニティを示す.本研究で合成すしたアフィニティ膜を病因タンパク質の除去に利用するとき,アフィニティ膜の免疫グロブリンに対する選択的吸着性が重要となる.そこで,多成分系タンパク質溶液を使って,トリプトファンあるいはフェニルアラニンを固定したアフィニティ膜の選択性を検討した.
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[Publications] 斎藤 恭一: "Ion Exchange of Lysozyme during Permeation across a Microporous Sulfopropy1-Group-Containing Hollow Fiber" Biotech.Progress. 9. (1993)
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[Publications] 斎藤 恭一: "放射線グラフト重合法によるアフィニティ膜の開発(総説)" 膜. 17. 58-66 (1992)
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[Publications] 斎藤 恭一: "Protein Adsorption Capacity of a Porous Phenylalanine-Containing Membrane Based on a Polyethylene Matrix" J.Chromatography. 586. 27-33 (1991)
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[Publications] 斎藤 恭一: "Adsorption and Elution of Bovine Gamma-Globulin Using an Affinity Membrane Containing Hydrophobic Amino Acids as Ligands" J.Chromatography. 585. 45-51 (1991)
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[Publications] 斎藤 恭一: "Water Flux and Protein Adsorption of a Hollow Fiber Modified with Hydroxyl Groups" J.Membrane Sci.56. 289-302 (1991)
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[Publications] 斎藤 恭一: "Adsorption Characteristics of an Immobilized Metal Affinity Membrane" Biotech.Progress. 7. 412-418 (1991)