1991 Fiscal Year Annual Research Report
スピノ-ダル分解による高分子ブレンド膜のミクロ構造制御とその分離機能に関する研究
Project/Area Number |
03650771
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 義和 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70111995)
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Keywords | 光散乱 / キャスト膜 / 二相連続構造 / スピノ-ダル分解 / 動的スケ-リング則 / 相分離 |
Research Abstract |
ポリマ-試料として、BR(ポリブタジエン),SBR(ブタジエンースチレンランダム共重合体)を用い重量比1:1で良溶媒(ベンゼン,トルエン,キシレン)に所定濃度で溶解させた。この溶液をガラスシャ-レに仕込み、光散乱装置のステ-ジ上で、室温、大気圧下で、溶媒を蒸発させ、成膜を行った。キャスト膜の構造形成の時間発展の測定は、HeーNeレ-ザ-を光源に用い、検出器に1024チャンネルのMOS型リニアイメ-ジを用い自作した光散乱装置を使用した。また、最終構造は光学顕微鏡により観察した。これらの実験により以下のような結論を得た。 1.キャスト膜の相分離構造は、スピノ-ダル分解に特有な二相連続的な構造を示し、光散乱も二相連続構造を表すリング状の散乱パタ-ンを示した。 2.構造周期が10μm以上の構造(構造S_1)とμmオ-ダの構造(構造S_2)が同時に見られた。フィルムが非常に薄くなると構造S_2のみとなった。構造S_2は表面で成膜初期に形成した構造が凍結され,構造S_1は、溶液内部で発達したものと考えられた。 3.構造周期は溶媒の蒸気圧が大きいほど減少したことより、溶媒の蒸発速度に支配されていると考えられる。 4.二相連続構造に起因する散乱ピ-クは、初め広角側に現れ、散乱強度を増大させながら低角側へシフトし、構造の粗大化過程が観測された。この構造発達過程は、動的なスケ-リング則でまとめられることが見いだされた。また構造発展は、相分離の理論により定性的に説明することができた。 5.アルコ-ル分離膜としてポリジメチルシロキサンとポリイソブチレンのブレンドキャスト膜を作製し、分離性能と膜構造に関する研究を進めており、興味ある結果が得られている。
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Research Products
(2 results)