1992 Fiscal Year Annual Research Report
スピノーダル分解による高分子ブレンド膜のミクロ構造制御とその分離機能に関する研究
Project/Area Number |
03650771
|
Research Institution | KYOTO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
三宅 義和 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (70111995)
|
Keywords | 光散乱 / 相分離 / スピノーダル分解 / 二相連続構造 / スケーリング則 / ハーベーパレーション法 / 高分子ブレンド膜 / 下部臨界共溶温度 |
Research Abstract |
膜構造と分離性能の相関;ポリジメチルシロキサン(PDMS:M_W=9.37x10^4,M_W/M_N=2.99)とポリイソブチレン(PIB:M_W=8.4x10^5)を良溶媒であるシクロヘキサンに溶解さけ、溶媒キャスト成膜を行い、膜構造に及ぼす成膜条件の影響を検討した。重量分率PDMS/PIB=10/90〜30/70において二相連続構造に相分離した膜が得られた。一方、40/60,50/50では海島構造の膜が得られた。また、20/80,30/70の組成でシャーレに蓋をして成膜を行うと二相連続構造から海島構造に変化することが観察された。これらの結果から、膜構造は溶媒蒸発速度に大きく依存し、キャスト温度を変えることにより膜構造を制御できると結論づけられた。そこで、セルロース多孔質膜(ミリポア製、平均孔径25nm)上でPDMS/PIBのシクロヘキサン溶液をキャスト成膜を行った。この複合膜を用いて5vo1%エタノール水溶液からペーバーパレーション法によるアルコール分離特性(透過速度と選択率)を測定した。透過流束はキャスト温度の増大と共に減少するが、アルコール選択係数は逆に増大する。これはキャスト温度の増大と共に構造周期が小さくなるためであると結論された。 LCST系での相分離機構;LCST(下部臨界共溶温度)を有するポリメチルメタクリレート(PMMA:Mw=13,800,Mw/Mn=1.94)、ポリビニルアセテート(PVAc:Mw=360,000,Mw/Mn=3.48)を用い、ブレンド比(30/70〜70/30wt%)で良溶媒(クロロホルム)に溶媒させ、溶媒キャスト成膜を行い、この膜の相分離過程をHe-Neレーザーを用いた光散乱法により測定した。相分離の初期過程では、Cahnの線形理論に基づき解析を行い、見かけの拡散係数、構造周期を求め、それらの温度依存、組成依存について検討し、ほぼ理論通りの挙動が確かめられた。相分離中期・後期過程ではスケーリングによる解析を行い、この系の相分離機構にはスケーリング則が成り立ち、古川のモデルで相関されることがわかった。
|
Research Products
(1 results)