1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650776
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗像 健 九州大学, 工学部, 教授 (00037714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 克美 九州大学, 工学部, 助手 (80038108)
宮崎 則幸 九州大学, 工学部, 助教授 (10166150)
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Keywords | 脱水蒸留 / 蒸留効率 / 炭化水素ー水系 / 気液平衡関係 |
Research Abstract |
本研究の究極の目的は、炭化水素ー水系の脱水蒸留の効率が著しく低いといわれている理由を明らかにすることである。 これまでに行ってきた単一段からなる段塔によるベンゼンー水系、トルエンー水系、ヘキサンー水系の蒸留実験において、水の濃度が比較的高い領域では、典型的な炭化水素同士の混合物であるヘプタンートルエン系と同程度の高い段効率(約70%)が得られたが、低濃度領域では段効率は著しく低下することがわかった。この段効率は、比較的高濃度の領域で実測した気液平衡関係を用いた結果であり、もし低濃度領域で気液平衡比が著しく減少するならば、従来いわれている効率の低下は気液平衡関係にその原因があると考えてよいことになる。 この点を明らかにするため、本年度は、主として水の低濃度領域における気液平衡関係の測定と、これと並行して5段の段塔による蒸留実験を計画した。気液平衡測定に用いる低濃度領域の試料は段塔の塔底液であり、数ppmの水分濃度での実験が可能である。また、信頼性の高いデ-タを得るために、気液平衡測定装置は外部の影響をできるだけ小さくするために密閉系とし、サンプリングまでに8時間以上かけた。現在、ベンゼンー水系に対し、3ppm程度までの気液平衡デ-タを得ているが、高濃度領域で約30であった気液平衡比が、低濃度領域では激減し、1に近づくことがわかった。また5段の段塔による実験でも、上から3段目あたりで分離の限界に達し、それ以下の段では濃度はほぼ一定となった。まだ低濃度領域の平衡デ-タは十分に得られているとはいえないが、実測した平衡関係をもとに5段の段塔の効率を求めていると約60%となり、ヘプタンートルエン系の効率に近づいた。今後、他の系についても低濃度領域を中心にその平衡デ-タを蓄積し、本課題の問題点を明らかにして行く予定である。
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