1991 Fiscal Year Annual Research Report
石炭から製造した分子ふるい炭素の形状選択性を利用した触媒反応の制御
Project/Area Number |
03650786
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 孝一 京都大学, 工学部, 助教授 (40111942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前 一廣 京都大学, 工学部, 助手 (70192325)
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Keywords | 分子ふるい炭素 / 触媒担体 / 形状選択性 / メタノ-ル分解反応 / 細孔径制御 |
Research Abstract |
固体触媒の細孔構造を利用して反応生成物の選択性を制御(形状選択性)できることがいわゆるZSMー5を代表とするゼオライト系触媒について数多く報告されている。これに対して、活性炭に代表される多孔性炭素に形状選択性を有する触媒担体に利用できれば、細孔の形状が異なっている点,表面特性の大きく異なる点から、ゼオライト系とは異なる用途への適用可能性を有すると考えられるものの一般に活性炭等には形状選択性がない。そこで、本研究では、これまで我々が開発してきた数Aオ-ダ-の均一な細孔をもった分子ふるい炭素(MSC)を形状選択性を示す触媒担体として用い得るか否かを検討した。まず、我々の開発したMSCの製造方法は、石炭にピッチ及び固化剤としてフェノ-ル,ホルムアルデヒドを混合し、これを微粉砕後炭化するものである。炭化温度,ピッチの混合割合の調製により、3〜5Aの範囲で均一な細孔径をサブオングストロ-ム単位で制御できる。このMSCを製造する段階にNi(NO_3)_2を混合する方法(混合法)と、製造したMSCにNi(NO_3)_2水溶液からNiを担持する方法(含浸法)によって触媒を調製した。この触媒を水素中で還元した後、CH_3OHの分解反応を400℃程度で実施し、反応活性,選択率に及ぼす操作条件,MSCの細孔径等の影響を検討した。この結果、メタノ-ルの分子径とCH_4の分子径の間の均一な細孔径を育するMSC担体を精度良く製造でき、これを用いることによって、メタノ-ルの分解反応でメタン化反応を完全に抑制しCO,水素のみを高収率で得ることに成功した。また、細孔径,水素化学吸着量と反応活性,選択率の関係を詳細に検討した結果、上記のCO,水素の高選択率は、MSC担体の形状選択性によることが、明らかになった。このように、MSCが形状選択性を有する触媒担体として利用できることが判ったので、現在、気相FischerーTropsch反応の選択性制御への適用を実施している
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