1991 Fiscal Year Annual Research Report
イネ葯培養による欠失葉緑体DNAの発生メカニズムの解明とベクタ-利用の検討
Project/Area Number |
03660001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
原田 竹雄 弘前大学, 農学部, 助教授 (10228645)
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Keywords | イネ / 葯培養 / アルビノ / 葉緑体DNA / 色素体DNA / 線状DNA / ヘアピン末端 |
Research Abstract |
イネ葯培養ではアルビノが多発するが、これらのアルビノの中には色素体DNA(ptDNA)に大規模な欠失が見られものがある。アルビノから誘導したカルス(20C)の欠失ptDNAは、rpoBを中央に含むヘアピン末端を有する線状分子(19kbp)であること、さらにこの分子がHeadーtoーHead・TailーtoーTailの様式で連結した単量体から4量体までの分子種から構成されていることを既に明らかにした。そこで、同様に得たカルス(10A)における欠失ptDNAについて検討した。 サザンブロッドにより10AーptDNAの構造を解析した結果、psbAからtrnYまでの約16kbpの領域のみが確認された。欠失している領域は、PCR法によっても増幅が確認されないことから、10Aのカルスにはこの16kbpの領域のみがptDNAとして残存していることが明らかにされた。このDNAには末端が存在し、さらに各末端が向かい合って連結しているconcartenate分子である特徴も確認され、20CーptDNAと同様な線状分子種から構成されていると判断された。この欠失ptDNAのコピ-数をサザンブロットのシグナルの強度から概算したところ、正常なptDNAを有する種子由来カルスのptーDNAとほぼ同レベルであり、細胞当たり数千コピ-存在していた。このコピ-数は、同一カルス内のミトコンドリアDNAのコピ-数ともほぼ一致していた。また、カルスよりRNAを抽出し、ノ-ザンブロット解析を行った結果、残存している領域からと考えられる転写産物が確認された。20Cと10AーptDNAに共通する領域は約3.5kbpのみである。また10AーptDNAのカルス細胞を電子顕微鏡により観察したところ、正常ptDNAを有する種子由来のカルスと同様、多数のproplastidが確認された。以上の結果から、欠失ptDNAは色素体外からのRNApolymeraseにより転写され、共通して残存する3.5kbpからの転写産物が細胞内で機能を有している可能性が示唆された。
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[Publications] 原田 竹雄: "Largeーscale deletions of rice plastid DNA in anther culture" Theor.Appl.Genet.80. 157-161 (1991)
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[Publications] 原田 竹雄: "The conformation of largeーscale deleted plastid DNA in rice calli derived from pollen show no requirement for translation in plastid for plant cell growth to occur." Mol.Gen.Genet.