1991 Fiscal Year Annual Research Report
サツマイモにおけるトランスジェニック植物体の作出と導入遺伝子の形質発現
Project/Area Number |
03660004
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
神山 康夫 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80024579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 束穂 三重大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10164865)
掛田 克行 三重大学, 生物資源学部, 助手 (50221867)
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Keywords | サツマイモ / Ipomoea / トランスジェニック植物 / 遺伝子導入 / 分子育種学 |
Research Abstract |
遺伝子の構造と形質発現機構を研究するうえで、クロ-ニングされた遺伝子を染色体ゲノムに組み込んだトランスジェニック植物体を作成し、その植物体の種々の細胞・組識における導入遺伝子の形質発現特異性や発現程度を調査することは、不可欠な研究手段のひとつである。しかしながら現在、このような実験系が確立されているのは、培養細胞から再分化個体が比較的容易に得られるナス科やアブラナ科植物に限られており、外来遺伝子の育種学的利用を図るうえでも、他の多くの植物種についてこのような実験系を確立することが望まれている。本研究は、培養細胞からの植物体再生が容易ではないとされているサツマイモとその近緑野生種について、トランスジェニック植物体の効率的作出法を開発するとともに、得られた植物体における導入遺伝子の形質発現特異性を明らかにすることを目的として、本年度は培養細胞のAgrobacterium感染処理による遺伝子導入法について検討した。 5種類のサツマイモ栽培品種を実験材料とし、これら品種の成長点組識から2,4ーDを含む培地上で胚発生カルスを誘導した。誘導された胚発生カルスは、2,4ーDを含まない培地において高頻度の植物体再分化率を示した。このカルス細胞培養系を用いて、A.tumefaciens(EHA101)との共存培養条件および形質転換細胞選抜に用いる抗生物質の種類とその濃度について検討した。使用したEHA101系統は、GUS遺伝子とカナマイシンおよびハイグロマイシン耐性遺伝子をTiプラスミドに組み込んだものである。その結果、3日間の共存培養後70ug/mlのカナマイシンおよび25ug/mlのハイグロマイシンならびに500ug/mlのカルベニシリンを含む培地で、効率的に形質転換細胞が得られることが明らかとなった。これらの形質転換細胞において胚発生が認められていることから、さらに培養を継続することによりサツマイモのトランスジェニック植物体が得られる可能性が高いと思われる。今後この培養系を用いて、導入遺伝子の形質発現様式を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)