1992 Fiscal Year Annual Research Report
水稲個葉の光合成速度における品種間差異に関する研究
Project/Area Number |
03660009
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
黒田 栄喜 岩手大学, 農学部, 助教授 (90170125)
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Keywords | 個葉光合成速度 / 葉身全窒素含量 / クロロフィル含量 / 品種間差異 / 多収性水稲品種 |
Research Abstract |
水稲の多収性に関与する要因としては多くの形質が指摘されており、多収性品種の備えるべき生理生態形態的特徴としては、多くの組み合せが存在することが考えられる。そこで本研究では、前年度とほぼ同じ品種・系統を供試して、それら各品種・系統の収量性および生育特性を調査した。さらに、出穂開花期直前から種々の生育階段における個葉光合成速度とそれらの全窒素含量およびクロロフィル含量を定量し、生育のすすみにともなう個葉光合成速度の推移の相違を比較検討した。 本年度の供試品種としては、あきたこまち、山形22号、奥羽316号、ひとめぼれ、奥羽331号、キヨニシキ、はなの舞、フジミノリ、アキヒカリ、奥羽342号および奥羽339号の11品種・系統を用い、圃場に慣行に従って栽培した。その結果、フジミノリの635kg/10aから山形22の747kg/10aまで、収量には前年と同様にかなりの相違がみられたが、一部の品種を除き、品種による収量の相違には比較的同じ傾向のあることが認められ、フジミノリ、はなの舞に比べて奥羽316、316および山形22号などの収量はかなり高い傾向のあることがわかった。さらに、上記11品種を圃場にまた出種日の近い9品種をポットに慣行に従がって栽培し、出穂直前から登熟後期まで各品種の止葉の光合成速度を測定し、そのクロロフィル含量をグリーンメーターでまた全窒素含量をセミミクロケルダール法で分析した。その結果、いずれの品種においても出穂開花期以降生育のすすみにともない光合成速度、全窒素含量およびクロロフィル含量はともに低下し、とくに光合成速度の低下が顕著であった。また、いずれの生育時期においても、前年度と同様に、個葉光合成速度にはかなりの品種間差異がみられ出穂開花期および登熟初期に比べて登熟中期および登熟後期においてその程度が大きい傾向のあることが認められた。今後、登熟中期以降品種間差異が大となる生理生態的要因を明らかにする必要があろう。
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