1991 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンナシのS不和合タンパク質群の定性および応用に関する研究
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03660022
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平塚 伸 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (10143265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 康夫 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80024579)
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Keywords | ニホンナシ / 自家不和合性 / S遺伝子 / Sタンパク質 / アミノ酸配列 / RNA |
Research Abstract |
ニホンナシのS_2遺伝子に対応する花柱タンパク質について、‘おさ二十世紀'自殖第一代への遺伝を調査した。自殖第一代におけるS_2タンパク質の分解比は約3:1(S_2タンパク有:無=11:4)となり、S_2タンパク質がS遺伝子産物であることを強く支持した。しかし、‘おさ二十世紀'の自家和合性はS_4遺伝子の変異であり、S_2遺伝子をもつ花粉は受精できないという報告があり、この考えとは一致しなかった。 Nicotiana alataのSタンパク質はRNase活性を有し、N.tabacumの自家和合性はRNaesの欠損であるという報告が近年なされ(McClureら,Nature,1989)、この点をニホンナシで検討した。‘おさ二十世紀',‘二十世紀'および‘おさ二十世紀'由来の自家和合と自家不和合系統計6個体の花柱タンパクのRNase活性を比較したところ、それぞれ38〜48Units(Unit=1.0A260/min/mgタンパク)とほぼ一定の活性値内であり、自家和合系統で低いという傾向は得られなかった。さらに、電気泳動分離したS_2タンパク質のRNase活性を測定したが、N.alataで報告されているような強い活性は認められなかった。従って、ニホンナシの自家(不)和合性の生理学的メカニズムは、Nicotianaとは異っていると推察された。 ニホンナシ花柱からのRNA抽出が極めて困難であり、抽出方法の検討にかなりの労力を費した。様々な方法を試行錯誤した結果、ホットバッファ-法(抽出時に磨砕液を90℃処理する方法)での抽出効率が優れていた。このRNAからオリゴ(dT)セルロ-スカラムでmRNAを精製してcDNAライブラリ-を作成したが、得られたcDNAの大部分が1Kb以下であり、抽出過程でmRNAが断片化しているものと考えられた。現在このライブラリ-を使ってS_2遺伝子をクロ-ニング中であるが、RNAの抽出方法についても更に検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 平塚 伸,山田 利幸: "日本ナシの自家不和合性に関する研究 (第18報)花粉及び花粉管から放出されるタンパク質の定性" 園芸学会雑誌. 60別2. 128-129 (1991)
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[Publications] 平塚 伸,小林 裕和,田辺 賢一: "日本ナシの自家不和合性に関する研究 (第19報)S_2ー遺伝子に対応したタンパク質に数種の性質と遺伝" 園芸学会雑誌. 61別1. (1992)
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[Publications] S.Hiratsuka: "Detection and inheritance of a stylar protein associated with selfーincompatibility genotype of Japanese pear." Euphytica.
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[Publications] S.Hiratsuka: "Characterization of a Sーallele associated protein in Japanese pear." Euphytica.