1991 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモン構成成分の比と量における変異とそれを導く要因
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03660051
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Research Institution | Kinjo Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
小野 知洋 金城学院大学, 短期大学部, 教授 (50125192)
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Keywords | 鱗翅目昆虫 / ジャガイモガ / 性フェロモン構成成分 / 性フェロモン保有量 / 個体変異 / 飼育温度 |
Research Abstract |
本年度に計画していた研究項目は、保有性フェロモンの成分比や量における変異の制御要因の解明、遺伝的要因の関与の程度、放出性フェロモンの分析方法の確立、等であった。 この内、前2項についてはかなり明確な成果を得ることができた。すなわち、飼育個体群から任意に選び出した雌雄をもとに継続的な近親交配の結果、成分比に関して、ある程度の遺伝的制御の存在が認められた。しかし、その制御は限られた範囲であり、これまで性フェロモンの成分比制御としては報告例のない、環境要因の関与が強く示唆された。そこで、この環境要因を分析した結果、ジャガイモガにおいては、生育期間、とりわけ蛹期間の温度の変化に伴って保育性フェロモン成分比が変化する事実が明かとなった。これらの事実は、世界的にみても類似の報告例のない新たな知的であり、現在、すでに関係国際雑誌への投稿を前提に、2論に文まとめる作業を進行中である。 一方、放出性フェロモンの分析については、捕集装置が計画どおりに作動することは確認できたが、ジャガイモガにおいては、放出性フェロモン量が予定以上に少ないため、十分な結果を得るには至っていない。この問題の解決にあたっては、上記の実験から性フェロモンの保有量につて遺伝的制御が明らかになったため、これを利用して、現在、多量の性フェロモンを保有する系統の育成を試みている。3月現在で、通常系統の3倍程度の性フェロモン量を保有する系統を得ており、近々、この系統を用いて、放出性フェロモンの分析を試みる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] ONO,Tomohiro: "Factors controlling individual pheromone component ratio in the potato tuberworm moth,Phthorimaea operculella (Lepidoptera:Gelechiidae)." Journal of Chemical Ecology.
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[Publications] ONO,Tomohiro: "Effect of rearing temperature on pheromone component ratio in the potato tuberworm moth,Phthorimaea operculella(Lepidoptera:Gelechiidae)." Journal of Chemical Ecology.