1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシケイ酸アルミニウムー粘土複合体の荷電特性と有機配位子に対する反応性
Project/Area Number |
03660059
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
井上 克弘 岩手大学, 農学部, 教授 (30035109)
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Keywords | ヒドロキシケイ酸アルミニウム / ヒドロキシアルミニウム / モンモリロナイト / バ-ミキュライト / 荷電特性 / 比表面積 / 陽イオン交換容量(CEC) / 陰イオン交換容量(AEC) |
Research Abstract |
ヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンはヒドロキシアルミニウム(HA)イオンとオルトケイ酸より容易に形成される。本年度は、代表的な土壌粘土であるモンモリロナイト(Mt)とバ-ミキュライト(Vt)を用い、これら粘土鉱物とHA、HASイオンとの複合体形成が、粘土の荷電特性及び表面特性にどのような影響を及ぼすかについて研究した。得られた結果は次のように予約される。 1.HA、HASイオンがこれら膨張格子型粘土の層間及びその表面に吸着固定されることが、X線回折より明らかになった。 2.これら複合体を塩化カルシウムで飽和後、pH4〜8の範囲でCECとAECを定量した。CEC及びAECと平衡pHの関係によれば、HA、HASイオンとの複合体形成は、酸性側でCECを著しく減少させる。しかし、中性付近では、Mtの系では、HAとHASイオンの重合がすすみ、粘土の層間から離脱するためCECの回復がみられた。一方、Vtの系では、CECの回復は50〜60%程度であり、VtによるHA、HASイオンの吸着が強いことが明らかになった。HASーMt複合体はpH6以下でAECが発現したが、ケイ素四面体層に陰荷電が多いVtでは、複合体を形成しても陽荷電は発現しなかった。 3.HAー、HASー膨張格子型粘土複合体の形成は、比表面積に変化をもたらした。すなわち、複合体形成により、総表面積及び内表面積の減少と外表面積の増加を引き起こした。 このようにHA、HASイオンは膨張格子型粘土と複合体を形成することにより、粘土の荷電及び表面特性を大きく変化させることが明らかになった。このような荷電及び表面特性の変化は、土壌中におけるリン酸の固定や腐植の集積にHA、HASイオンが活性アルミニウムとして重要な役割を演じていることを示唆している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inoue,K.and C.satoh: "Surface charge characteristics of hydroxyaluminosilicateーand hydroxyaluminumーmontmorillonite complexes" Soil Science Society of America Journal. 56. (1992)
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[Publications] Inoue,K.and C.Satoh: "Electric charge and surface characteristics of hydroxyaluminosilicate and hydroxyaluminumーvermiculite complexes" Clays and Clay Minerals. 40. (1992)
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[Publications] 井上 克弘,佐藤 千秋: "ヒドロキシケイ酸アルミニウムーモンモリロナイト複合体の荷電特性" 日本土壌肥料学会講演要旨集. 37. 22 (1991)
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[Publications] 佐藤 千秋,井上 克弘: "ヒドロキシケイ酸アルミニウムーバ-ミキュライト複合体の荷電特性" 日本土壌肥料学会講演要旨集. 37. 22 (1991)
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[Publications] 佐藤 千秋,井上 克弘: "ヒドロキシケイ酸アルミニウムー膨張格子型粘土複合体によるリン酸塩吸着" 粘土科学討論会講演要旨集. 35. 120-121 (1991)