1991 Fiscal Year Annual Research Report
マウス由来ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼの大腸菌での発現とその応用
Project/Area Number |
03660074
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助教授 (30122063)
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Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ / cDNA / 遺伝子組換え酵素 / 大腸菌発現系 / 発現ベクタ- / pkkPADー4 |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ〔EC3、5、3、15〕(以下PADと略記)は、Ca^<2+>存在下で蛋白貭のArg残基を脱イミノ反応によりCit残基に変換する全く新しいタイプの蛋白質修飾酵素であり、生理機能のみならず応用的にも注目される性質を有している。PちDは、脊椎動物の各種組織に存在しているが、最近我々はマウス子宮からPADのmRNAをカバ-する2個のcDNAクロ-ンを得てその全一次構造を決定した。本研究では、まず上記のcDNAを継なぎ合わせ全翻訳領域を含むクロ-ンを作製した。次に3´非翻訳領域の大部分をBAL31eronuclease法を用いて削除し、また翻訳領域の5´末端には合計4種の異なる合成DNAリンカ-(SDーATG間の塩基配列の異なるもの)を挿入後それぞれpKK223ー3発左ベクタ-に組み込んだ。これら各種発現プラスミドにより大腸菌JM105株を形質転換させた所、1つのプラスミド(pKKPADー4)は大腸菌体内においてPADを発現することが見出された。このプラスミドはSDーATG間に余分なシストロンを1個挿入したものであり、菌総蛋白質量の1〜15%を活性型として発現することが出来た。つぎに、pkkPADー4発現組み換え酵素の精製法について検討した所、大豆Kunitz型try psin inhibitorーSepharoxeアフィニティ-クロマトを用いることにより1段階のクロマトにより収率30%でほぼ均一な精製酵素を得ることが出来る方法を確立した。精製組み換え酵素の蛋白質化学的性質および酵素化学的諸性質をマウスより得たPADのそれと比較した結果、組み換えPADはN末端アミノ酸がメチオニンである以外(マウスPADはアセチル化メチオニン)は一次構造上は同一であることが確認出来た。またCDスペクトラムも両者では殆んど差がなく高次構造の点でも変化がないことが確認出来た。その他、各種基質に対するKm kcat値やCa^<2+>依存性も天然型PADと同様であることから、本研究により確立したPADの大腸菌での発現系は今後の発展に十分答えられるものであると確信している。
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Research Products
(1 results)