1991 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の成長・分化におけるインスリン様成長因子Iと他のホルモンとの相乗作用機構
Project/Area Number |
03660078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (00197146)
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Keywords | インスリン様成長因子I / インスリン / チロシンリン酸化 / サイクリックAMP / 甲状腺刺激ホルモン / FRTLー5細胞 / 初代培養肝細胞 |
Research Abstract |
ラット甲状腺由来正常細胞FRTLー5を、cAMP細胞内情報伝達経路を刺激するTSHで24時間前処理後、チロシンキナ-ゼ細胞内情報伝達経路を刺激するIGFーIで1分間処理したところ、(1)p175、p95などのIGFーI依存性チロシンリン酸化が増強され、(2)p125、p85などのIGFーI非依存性チロシンリン酸化が増加することが確認された。そこで、IGFーI作用発現に重要と考えられる、これらp175やp125などのチロシンリン酸化基質の精製を試みた。 まず、細胞培養条件および精製条件を検討したところ、FRTLー5細胞を、Bt_2cAMP(1mM)で48時間処理後、IGFーI(100ng/ml)で5分間処理し、1%Triton Xー100と種々のホスホチロシンホスファタ-ゼ阻害剤を含む緩衝液でharvestすると、これらの基質が効率よく回収された。このようにして得た細胞抽出溶液を、DEAEー陰イオン交換カラムクロマトグラフィ-に供して粗精製し、続いて、抗ホスホチロシン抗体アフィニティ-クロマトグラフィ-、SDSーポリアクリルアミド電気泳動を利用することにより、特にpp175の単離・精製が可能であることが明らかとなった。 一方、インスリンレセプタ-・キナ-ゼの基質として、既に報告されたIRSー1とpp175の性質を比較した。ラット初代培養肝細胞をBt_2cAMPで24時間処理後、インスリンで1分間処理したところ、pp175の場合と同様に、インスリン処理によって誘導されるIRSー1のチロシンリン酸化が、cAMP前処理により増強されることが観察されたが、SDSーポリアクリルアミド電気泳動上の移動度がpp175と異なり、IRSー1とpp175が異なるタンパク質である可能性が示唆された。 今後、pp175及びpp125の単離・精製を進め、これらのタンパク質の部分構造を明らかにしていく予定である。
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[Publications] S.ーI.Takahashi: "“Tyrosine phosphorylation induced by insulin in primary cultured hepatocytes of rats"" Endocrinology.
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[Publications] S.ーI.Takahashi: "“Purification of p175,the subustrate of IGFーI receptor kinase in FRTLー5 cells"" Endocrinology.