1991 Fiscal Year Annual Research Report
イネ種子二機能性酵素インヒビタ-のcDNA機造解析と組織特異的発現
Project/Area Number |
03660086
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山形 裕士 神戸大学, 農学部, 助教授 (00159203)
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Keywords | イネ種子 / 二機能性インヒビタ- / ズブチリシンインヒビチ泰 / αーアミラ-ゼインヒビタ- / アリュ-ロン顆粒 |
Research Abstract |
イネ科種子のαーアミラ-ゼは発芽生理の上で重要な酵素であるが、最近、申請者らは、イネ種子中にこの内生のαーアミラ-ゼとズブチリンを阻害する二機能性酵素インヒビタ-(RASI)が存在することを明らかにした。また、その種子内蓄積部位は糊粉層であり胚曜にはほとんど存在しないこと、このことは大麦の二機能性インヒビタ-(BASI)の局在部位と正反対であることを見出した。そこで同じイネ科移物種子内でのこの相違に注目し、二機能性酵素インヒビタ-遺伝子の組織特異的発現の多様性のメカニズムを遺伝子レベルで明らかにすることを最終目標として、本研究ではRASIのcDNAのクロ-ニングを行なうと共にオルガネラ局在性を調べた。 開花後22日のイネ種子から単離したmRNAに対するcDNAをλgt11組み込んでcDNAライブラリ-を作成した。RASIのN末端アミノ酸配列をもとに作成したオリゴヌクレオチドをプロ-ブとするプラ-クハイブリダイゼ-ションによってこのcDNAライブラリ-をスクリ-ニングした結果、複数の陽性クロ-ンを得た。これらをファ-ジミドpBluescriptに組み込み、サブクロ-ニングした。現在、これらのクロ-ンの構造解析を進行中である。 一方、RASIタンパク質の種子内局在部位をオルガネラレベルで決定するために、米糠より非水系溶媒を用いる分画遠心法によりアリュ-ロン顆粒を単離した。抗ーRASI抗体を用いるウェスタンブロッティング分析によりアリュ-ロン顆粒にRASIが蓄積していることを明らかにした。 今後は、単離したcDNAの塩基配列を決定し、RASIの一次構造を明らかし、さらに遺伝子の構造解析を行なう。また、このcDNAをプロ-ブとして、RASI遺伝子の組織特異的発現様式を調べる。これらの結果を総合してイネ種子における二機能性酵素インヒビタ-の組織特異的発現の分子レベルでのメカニズムを解明する計画である。
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[Publications] 山形 裕士: "Purification and Characterization of a Subtilisin Inhibitor from Rice Seeds."
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[Publications] 山形 裕士: "Nucleotide Sequence of a cDNA that Encodes a Rice Subtilisin/αーamylase Bifunctional Inhibitor"