1992 Fiscal Year Annual Research Report
塩生植物に存在する新しいタイプのATPaseの機能と挙動に関する研究
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03660087
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
平山 修 近畿大学, 農学部, 教授 (80032580)
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Keywords | 塩生植物 / ATPase / phosphatase / 膜結合酵素 / 耐塩性酵素 |
Research Abstract |
前年度において,塩生植物オカヒジキ(Solsola komarovi)にはATP分解活性をもつ酵素(ATPase)が膜結合型(ME)および遊離型(FE)として存在し,その存在比は4:96であることを明らかにした。本年度は,このMEおよびFEをそれぞれ精製し,性質を比較した。すなわち,MEはショ糖密度勾配遠心および新しく開発したDEAE-ToyopearlカラムHPLCを用いて分離精製し,同時にMEが形質膜画分に存在することを明らかにした。また,FEはDEAE-ToyopearlカラムおよびTskgelカラムにより精製した。ME,FEともにP-nitrophenylphosphateついでADP、ATPをよく分解した。また,両酵素は,類似したパターンの塩による活性促進を示したが,特にFEではMgcl_2+KCl,MgCl_2+NACl,CaCl_2による大きな活性促進が認められた。ME,FEの至適pHはそれぞれ5.7,6.3で,互いにやや異なっていた。両酵素はともにmolybdateついでvanadateにより阻害されたが,特にFEはmolybdateで完全に阻害された。また,両酵素は強い耐塩性を示し,MEは高濃度のNaClの存在下活性はむしろ上昇した。以上,本酵素は従来報告されているATPaseおよびacid phosphataseの両性質を共有しているが,どちらかといえばacid phosphataseに近似した酵素であると云える。オカヒジキに存在するATP分解活性の約95%は本酵素に由来していた。他方,中性植物の大豆および塩感受性植物のキュウリについて調べ,何れも本酵素をもっているが,塩抵抗性の低い植物ほどその存在量が少なく,反対に従来型ATPaseが増加することが分った。次に,ME活性と膜脂質との関連をみるため,膜を脱脂し大豆リン脂質成分をリポソームとして添加して活性回復を調べた。レシチンが最も高い活性回復を示し,これにイノシトールリン脂質を混合するとさらに高い活性回復が認められた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] O.Hirayama,M.Noda and T.Tetsuo: "Characterization and distribution of acid phosphatase in a halophyte,saltwort" Phytochemistry,.
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[Publications] O.Hirayama and K.Nagaoka: "Separation of inside-out and right-side-out membrane vesicles from plasma-and tonoplast-membranes of soybean and saltwort" Plant cell Physiol.