1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660097
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
牧野 修 理化学研究所, バイオデザイン研究グループ, 研究員 (70231587)
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Keywords | 遺伝的組換え / 様同的組換え / DNA修復 / PCR / エレクトロポレ-ション / 分裂酵母 / 高等植物 |
Research Abstract |
人工的に改変した遺伝子を用いて、細胞内の改変前の遺伝子を相同的組み換えにより置き換えることが出来れば、はるかに効率のいい育種が可能となる。DNAの組み換えは細胞の重要な機能の一つだが、その機構は不明の点が多い。そこで、基本的な組み換えの反応機構を研究し、高等植物における組み換えの人為的な制御を目指し、遺伝子を発現させずに生体内で相同的組み換えを直接検出する、迅速かつ定量的な測定系の構築を進めている。 マックスプランク研究所のJ.Schell教授のグル-プと共同で、欠損をカナマイシン耐性遺伝子(大腸菌に由来するNPTII遺伝子)を高等植物であるタバコ細胞に導入し、相同的組み換えの検出を試みた。その結果、外来のDNA同士で一本鎖DNAの修復が極めて高頻度で起こる条件を発見した。すなわちNPTII遺伝子の二種の欠損変異DNAを混ぜてタバコ細胞を形質転換した場合、逆向きの一本鎖DNAの欠損変異の組み合わせにより、極めて高い頻度で完全なNPTII遺伝子が再生した。この反応はDNAの相同的組み換え反応の一部であると思われ、おそらくGene Conversionと類似の反応と考えられる。この機構をさらに解析するためにより取り扱いの容易な酵母を用いた検討を開始した。 分裂酵母に電気パルス法により欠損を持つNPTII遺伝子を導入後全DNAを抽出し、欠損を含む領域に起こった変化をPCR法により解析した。するとタバコ細胞の場合と同様に、一本鎖DNA中の欠損が修復され、完全長のNPTII遺伝子となることが強く示唆された。形質転換時にPEGが存在することが重要らしく、二つの一本鎖DNA間でのheteroーduplex生成が必須条件の一つと考えられる。このことから、分裂酵母においても、高等植関とほぼ同様な機構によりDNAの組み換え反応が起こっていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] O.Makino,M.Wada,B.Reib,T.Shibata and J.Schell: "The use of single-stranded DNAs as hyper recombinogenic substrates in Tobacco."