1991 Fiscal Year Annual Research Report
メイラ-ド反応中間体,3ーデオキシグルコソンの食品および生体における意義
Project/Area Number |
03660129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早瀬 文孝 東京大学, 農学部, 講師 (80105246)
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Keywords | 3ーデオキシグルコソン / 細胞毒性 / 3ーデオキシフラクト-ス / マクロファ-ジ / メイラ-ド反応 / グリケ-ションタンパク質 / アルギニン / 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究はメイラ-ド反応の中間体である3ーデオキシグルコソン(3ーDG)の食品および生体における意義を明らかにする目的で行われた。第一に3ーDGの細胞増殖に対する影響を調べた。HeLaS3,EL4,Chung Liver,FDCP2の各細胞への ^3HーTdRの取り込み量を測定した結果、3ーDGは細胞分裂に影響を与えることが明かとなった。フロ-サイトメトリ-を用いた実験から、3ーDGが細胞増殖サイクルのなかで特にS期に作用し、M期には大きな影響を与えなかった。以上のことから、3ーDGは細胞毒性を有することが明かとなった。第二に3ーDGの定量法を確立するためにHPLCおよびTMS誘導体のGCによって食品中や生体中の3ーDGの検出、定量が可能となった。3ーDGを含まない飼料を与えたラット尿中には3ーDGは検出されなかったが、3ーDGの代謝生成物である3ーデオキシフラクト-ス(3ーDF)が検出され、GCによって定量したところ正常ラット尿中には15μg/ml、実験的糖尿病ラット尿中には28μg/mlの3ーDFが認められた。従って、生体内で3ーDGが生成しているという関接的な証明がなされた。第三に3ーDGの高い反応性から3ーDG修飾タンパク質の化学構造を明らかにする目的でBzArgと3ーDGを反応させ、反応生成物の単離精製をHPLCなどにより行って、NMR、MSなどによって構造解析したところ2ー[δーNーornithyl]ー5[1ー(2,3,4ーtrihydroxybutyl)]ー4ーimidazoloneと同定した。第四にguanidobutyric acidと3ーDGの反応生成物であるimidazoloneをHPLCによって精製し、このハプテンをpolylysineにカップリングさせ抗原を得た。今後、マウスに免疫して抗体を作成する予定である。第五に、3ーDG修飾タンパク質のマクロファ-ジへの応答を調べた。3ーDGをBSAに反応させて調製した3ーDG修飾BSAはマクロファ-ジに特異的に結合し、その結合部位は二つあると推定された。3ーDG修飾BSAのマクロファ-ジに対する結合は、グリケ-ションGSAによって阻害された。
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[Publications] F.Hayase: "Enzymatic metabolism of 3ーdeoxyglucosone,a Maillard intermediate" Amino Acids. 1. 307-318 (1991)
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[Publications] T.Shinoda: "Cytotoxicity of 3ーdeoxyglucosone" Biosci.Biotech.Biochem.
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[Publications] Y.Konishi: "Identification of arginine adduct modified with 3ーdeoxyglucosone" Biosci.Biotech.Biochem.