1992 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハチョウ類の産卵行動制御因子に関する化学的研究
Project/Area Number |
03660137
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
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Keywords | アゲハチョウ / 産卵刺激物質 / 昆虫 / 寄主選択 / 化学生態学 / フラボノイド / 構造一活性相関 / 蝶 |
Research Abstract |
アゲハチョウ類の産卵対象となる寄主植物生葉には,母蝶の産卵衝動を誘起する化学物質が含まれている。このような産卵行動制御因子の化学的基盤を明らかにし,寄主選択のメカニズムを解析するために数種のアゲハチョウ類を材料に研究を展開した。以下に本研究で明かになったことをまとめる。 1.アゲハの産卵刺激物質: サンショウに含まれるアゲハの産卵刺激因子を追跡した結果ブタノール可溶部部よりウンシュウミカンの場合と共通のフラバノン配糖体を同定することができた。また,各種フラバノン配糖体を用いアゲハに対する産卵刺激活性を検定し,構造と活性の関係について考察した。 2.ギフチョウの産卵刺激物質:ギフチョウの産卵刺激物質も複数の成分から成り立っているが,そのうち一成分をミヤコアオイ葉抽出物のブタノール可溶部より単離した。本物質は分子式C_<34>H_<46>O_9を示すフラボノイドであり,そのスペクトル分析などによりイソラムネチンの三配糖体と決定した。 3.ジャコウアゲハの産卵刺激物質:ウマノスズクサに含まれるジャコウアゲハの産卵刺激物質として桂皮酸誘導体のリンゴ酸エステルを同定した。 4.ジャコウアゲハ属の幼虫肉角分泌成分アリストロキア酸:東南アジアに産するジャコウアゲハ族の食草(ウマノスズクサ科)よりアリストロキア酸を同定した。同植物を摂食したキシタアゲハとベニモンアゲハの一種よりアリストロキア酸を検出した。また,ジャコウアゲハの幼虫肉角分泌液中の極性成分として,グリセロール,ミオイノシトール,ヌクレオシド類を同定することができた。
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[Publications] T.Ohsugi: "Activity of oviposition stimulant analogs for a Rutaceae-feeding swallowtail butterfly,Papilio xuthus" Bulletin of Wakayama Medical Coll.21. 5-9 (1991)
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[Publications] R.Irie: "Isolation and synthesis of a new bio-antimutagen,petasiphenol,from scapes of petasites japonicum." Biotech.Biosci.Biochem.56. 1773-1775 (1992)
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[Publications] R.Nishida: "Sequestration of cucurbitacin analogs by New and Old World chrysomelid leaf beetles in the tribe Luperini" Chemoecology. 3. 19-24 (1992)
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[Publications] R.Nishida: "Accumulation of Dendrobium superbum(Orchidaceae)fragrance in the rectal glands by males of the melon fly,Dacus cucurbitae" J.Chem.Ecol.19. 713-722 (1993)