1992 Fiscal Year Annual Research Report
微生物多糖生産のための効率的なバイオリアクターの開発
Project/Area Number |
03660139
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Keywords | 微生物多糖 / プルラン / メンブレンバイオリアクタ / 膜分離 |
Research Abstract |
微生物菌体の中には多糖などの高分子物質を分泌するものが少なくない。これらの培養液は粘性が高いために、通常除菌は極めて因難であり、工業的に利用する場合の問題点の一つになっている。本研究では高粘性発酵液の例として、Aureobasidium pullulansによる高分子多糖プルランの発酵生産を取り上げ、上述の問題点を解決するために、膜分離法を併用した連続生産システムの開発を最終目的として研究を行った。 先ず、プルラン培養液のクロスフロー膜濾過を行い、膜透過流束とプルランの膜透過率に及ぼす操作条件、培養条件や膜の種類の影響などを詳細に調べた。これらの中で最も重要な因子は基質スクロース濃度、pHなどの培養条件であった。初発スクロース濃度が10%の培養液をクロスフロー濾過した場合の膜透過流束は10^<‐6>m/sのオーダーであったが、これは菌糸状の形態を示す菌体や胞子、顆粒状色素の割合の増加により菌体ケーク層の比抵抗の増加によることが明らかにされた。スクロース濃度を低下させると、酵母状の形態を示す菌体の割合が増え、その結果比抵抗が顕著に低下した。1%スクロース濃度で培養を行った場合のケーク層の比抵抗は、10%の場合の約1/200であった。培養液のpHを4以上にコントロールすると、比抵抗はさらに1/5に低下した。本条件で得られた培養液のクロスフロー濾過に、周期的濾口開閉方式を適用したところ膜透過流束は10^<‐4>m/sのオーダーまで増加した。この結果に基づいて、菌体分離装置を備えた菌体保持形バイオリアクターによるプルランンの連続生産を試みた。菌体分離法としては、培養槽内底部に直接膜を装着する方法と、培養槽の外部にモジュールを連結し、ポンプで培養液を循環する方式の2つの装置を試作した。後者の方法によりある程度の期間の連続反応が可能であることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroshi YAMASAKI: "Charcteristics of crossflow filtration of pullulan broth" Applied Microbiology and Biotechnology. (1993)
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[Publications] Hiroshi YAMASAKI: "Improvement for performance of crossflow membrane filtration of pullulan broth" Applied Microbiology and Biotechnology. (1993)
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[Publications] Myung-Sup LEE: "Crossflow membrane filtration of pullulan broth" Advances in Bioseparation Engineering 1991. 79-83 (1991)
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[Publications] Myung-Sup LEE: "Biochemical Engineering for 2001" Springer-Verlag Tokyo, 847 (1992)