1992 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフェノールオキシダーゼを阻害する抗体ペプチドの作製
Project/Area Number |
03660143
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉元 誠 九州大学, 農学部, 助教授 (90182831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 敬久 九州大学, 農学部, 助手 (70190816)
波多野 昌二 九州大学, 農学部, 教授 (30038260)
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Keywords | ポリフェノールオキシダーゼ / 阻害抗体 / 抗体ペプチド / PCR / Fvフラグメント / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本研究は、食品の品質低下に関与する酵素の特異的阻害剤として、酵素に阻害活性を示すモノクローナル抗体ペプチドを利用することを目的としている。酵素としては、自然界に広く分布し、食品の酵素的褐変反応を触媒するポリフェノールオキシダーゼ(チロシナーゼ、EC 1.14.18.1)を用いた。 ポリフェノールオキシダーゼ酵素標品(マッシュルーム由来;シグマ社)を精製後、10匹のマウスを免疫し、細胞融合を試みた。安定した特異抗体産生細胞は8個しか得られず、これらの細胞の産生するモノクローナル抗体の酵素に対する阻害作用も低かった。屠殺前の血清の抗体価も希釈倍率で約1000倍と低く、抗体価を上げるために、使用するアジュバント、免疫期間、免疫回数について検討したが好ましい結果は得られなかった。結論として、本酵素はマウスに対して免疫されにくい酵素であり、阻害活性を示す抗体を蛋白質分解酵素で分解し、阻害抗体ペプチドを得ることは困難であると判断した。 次に、動物細胞の系を用いずに短期間でFvフラグメントの多様なレパートリーが得られるという点で特に有利な大腸菌での発現を試みた。まず、免疫したマウス脾臓よりmRNAを調製し、これよりcDNAを作製してPCRで増幅した。Fv領域を増幅するために、各種合成プライマーの組み合せを用いたが、それぞれにFv領域が増幅されており、このことはポリフェノールオキシダーゼに対する抗体のFv領域が多様なレパートリーとして増幅されていることを示唆した。今後これらの増幅されたFv領域の遺伝子をpGEX-3Xに組み込み大腸菌で発現させ、阻害活性を指標にスクリーニングし、得られた阻害フラグメントを出発物質としてさらに低分子化を試みる。
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