1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660149
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中田 誠 新潟大学, 農学部, 助手 (80217744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 隆 千葉経済短大, 初等教育科, 助教授
紙谷 智彦 新潟大学, 農学部, 助教授 (40152855)
|
Keywords | 大佐渡山地 / 天然スギ / 林分構造 / 更新様式 / 崩壊斜面 / シナノキ林 / 実生 / 萌芽 |
Research Abstract |
大佐渡山地の上部(海抜約700m以上)にはスギ天然林が所々に分布しており、植生・土壌の特性と気象条件について前年度に調査を行った。今年度はスギ天然林内に固定調査地を設定し、林分構造と更新様式の調査を行った。その結果、スギ天然林内では、スギの高木・低木ともに集中分布を示し、高木の周囲でスギの更新が行われていた。日本海側の天然スギの更新は、一般に伏条によるとされているが、稚樹の堀り取り調査の結果、半分近くが実生による更新であることがわかった。またそれらは、ほとんどが倒木上、切株上、根株周囲に生育していた。当年生実生の調査からも、倒木上、切株上、根株周囲が生残にとって有利であることが確認された。伏条稚樹は全体の過半数を占めたが、ほとんどが母樹から1m末満の位置に成立していた。スギ天然林の伐採跡地での齢構成を調べた結果、林分によって異なるが、いずれも100年前後〜200年の間に比較的大きな規模の再生が行われていた。林内各所で古い切株が認められたことから、現在みられるスギ天然林の林分構造は、過去の人為の影響(盗伐など)を大きく反映していると考えられた。 また、大佐渡山地の北西側(外海府側)の崩壊斜面に隣接した急斜面では、シナノキを優占種とする林分が所々に分布しているのが確認された。このシナノキ林の成因を明らかにする目的で、当初計画にはなかったが、急傾斜の崩壊斜面における低木群落の更新過程について調査を行った。その結果、この低木群落内ではシナノキの優占度が最も高く、斜面の下部から上部へ向かって個体の定着が進行していた。また定着しているシナノキは、萌芽や伏条によって株立ちしているものが多かった。このことから、崩壊斜面でシナノキが優先的に定着できるのは、立地の安定性とともに、崩壊等の物理的破壊作用への耐性が強いためと考えられた。
|