1991 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケの子実体形成に影響をおよぼすほだ木要因の解析
Project/Area Number |
03660179
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Research Institution | Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
坪井 正知 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 室長代理 (00106717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時本 景亮 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究部長 (20088842)
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Keywords | 担子菌 / シイタケ / きのこ栽培 / はだ木性質 / 気象条件 / 子実体形成 |
Research Abstract |
兵庫県一宮町の4戸(A〜D氏)のシイタケ生産者のほだ場から、おが種菌を接種した2年ほだ木(品種514号、コナラ原木使用)をそれぞれ15本ずつ(合計60本)借り受け、持ち帰った。辺材および内樹皮から試料を採取して、ほだ木の物理・化学的性質を分析するとともに、これらほだ木を浸水処理し、子実体発生状況を観察した。 子実体発生量は生産者間で大きなバラツキがあり、ほだ1本当り(平均直径11cm)の発生量(生重量)はA氏354g、B氏273g、C氏236g、D氏133gであった。発生量が多い生産者のほだ木ほど材腐朽が進んでおり、A氏の容積密度の平均値は0.45であった。これに対し、発生量が最も少ないD氏の同値は0.54であった。また、浸水前のD氏のほだ木は他の生産者のほだ木よりも材の自由水率が高く(平均15.3%)、空隙率が小さかった(平均35.0%)。なお、傘の発達が不十分な奇形子実体が若干数(平均1個体以下/本)発生した。 供試ほだ木60本について、相関分析をおこなった。正常子実体の発生量は材の腐朽が進んだ、容積密度の小さいほだ木ほど多い傾向があった。浸水時のほだ木の吸水量も発生量と正の相関があり、水を吸収しやすいほだ木、あるいは多く吸水したほだ木が子実体発生に好適であることを示した。重回帰分析によっても、材の容積密度が小さく、浸水時の吸水量が多いほだ木ほど子実体発生量が多い傾向を認めた。 ほだ木育成過程の気象条件がほだ木の物理・化学的性質にどう影響するかを解明するため、コナラ原木に2品種の種菌を接種した(115号200本および610号200本)。これらを40本単位として、岩手県(寒冷地)、和歌山県(温暖多雨地)、奈良県(内陸地)、兵庫県南部(瀬戸内少雨地)、および鳥取県(冬期多雨地)に移動し、林内に並べてほだ木育成を開始した。
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