1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660200
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 水産学部, 講師 (40161137)
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Keywords | 付着防除 / フジツボ / 豚肝臓遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
1)付着防除方法の探索 1-1)付着阻害物質の基質への塗布による付着防除:平成3年度に確立したポリスチレン製シャーレおよびガラスシャーレを用いた試験方法により、種々の物質について検討した結果、豚肝臓遊離脂肪酸(FAPL)およびアルギン酸カルシウムの2つの物質で付着忌避活性が認められた。FAPLは、その1mg、0.1mgおよび0.01mgをn-ヘキサンに溶かし、ポリスチレン製のウエルに塗布した後、溶媒を揮発させた。このウエルに2日齢のタテジマフジツボキプリス幼生を20個体収容し、48時間後に付着率を調べた。その結果、FAPLの1mgおよび0.1mgの濃度において55%以上の付着阻害活性が認められた。アルギン酸カルシウムは、アルギン酸ナトリウム溶液に炭酸カルシウム溶液を流し込むことによりガラスシャーレに皮膜を形成させた。この試験容器に3日齢および5日齢のタテジマフジツボキプリス幼生20個体を収容し、2日後に付着率を調べた結果、80%以上の強い付着阻害活性が認められた。このアルギン酸カルシウム塗膜の天然での付着阻害活性については、平成 年1月7日、青森県陸奥湾のホタテガイ養殖用ロープから水深44mに垂下し、ホタテガイの汚損生物となっているミネフジツボに対する付着阻害効果を現在試験中である。 1-2)海水への物質注入による付着防除:従来、発電所の取水路、復水器管への付着生物の付着防止に用いられていた塩素に代わる薬剤として、無害な炭酸ガスを注入することによる付着防除法について検討した。20ml容のプラスチック容器に海水を入れ、炭酸ガスを通気してpHを5近くまで下げた後、タテジマフジツボの3日齢キプリス幼生を20個体収容して、24、72、96時間後に付着率、死亡率を調べた。この間のpHは6.6以下であった。その結果、96時間後においても付着率は0(対照区は95%)で、強い付着阻害効果が認められた。
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