1991 Fiscal Year Annual Research Report
組織培養における海藻の生長促進物質の検索と生理活性物質の生産に関する研究
Project/Area Number |
03660209
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
天野 秀臣 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40024830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 宏行 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024825)
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Keywords | 海藻 / 組織培養 / 寒天 / 生長促進物質 / 有機酸 |
Research Abstract |
1.オゴノリ寒天中に存在が予測される生長促進物質の同定 オゴノリ寒天の10%ゲルから凍結融解法により調整したドリップを、50%エタノ-ル処理に付し粘質多糖類を除去した後、限外濾過により低分子画分を集めた。これをマクサ寒天に10%添加したところ、生長率は64%増加した。次いで、ドリップを逆相シリカゲルHPLC(Shimーpac CLCーODS、15x0.6cm)に付し、糖、有機酸、アミノ酸、核酸物連化合物等を、また、蛍光X線分析と原子吸光分析により各種微量金属を調べた。その結果、遊離糖はガラクト-ス(126μg/ml)とキシロ-ス(32μg/ml)が検出された。アミノ酸と核酸は存在せず、有機酸は酢酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、クエン酸が1.5ー40μg/mlが検出された。微量金属はマンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、臭素およびストロンチウムが寒天100g当り0.04ー6.7mg検出された。これらの成分をマクサ寒天のそれと比較すると、有機酸のピルビン酸が検出されない点で極めて特徴的であった。オゴノリ寒天の有機酸組成に合わせ各種有機酸をマクサ寒天に添加したところ、クエン酸、酒石酸、マロン酸をそれぞれ0.004%,0.001%,0.001%混合添加した時、生長率が49%増加した。従って生長促進物質はこれら三種の有機酸である可能性が示唆された。 2.組織培養用寒天として要求される物理化学的性質 オゴノリ寒天のゲル強度は630g/cmであり、各種マクサ寒天の660ー850g/cmに比較して最も小さかった。一方、pHは6.6、粘度は7.9cp、SO_4は0.79%であり、これらは各種マクサ寒天と大差なかった。離しょう水量は最も生長のよかった寒天濃度0.7%の時、200時間後に2gであり、各種マクサ寒天の3ー5.5gと大きく異なった。従って、生長のよい寒天の性質としては、ゲル強度が小さく、かつ離しょう水量が小さいことが重要であると判明した。
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