1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660212
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
示野 貞夫 高知大学, 農学部, 教授 (00036732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益本 俊郎 高知大学, 農学部, 助手 (10238917)
細川 秀毅 高知大学, 農学部, 講師 (40036744)
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Keywords | 糖質代謝 / 脂質代謝 / 魚類 / 生化学 / 酵素化学 |
Research Abstract |
魚類の糖代謝と脂質代謝との関連性を知るため、飼料組成や給餌率の異なる条件でコイを飼育し、成長、飼料効率、体成分および酵素活性を調べた。 まず、糖質と脂質の含量が異なりタンパク質とエネルギ-の含量が等しい飼料で30日間水槽飼育した結果、飼料糖質の上昇にともなって、体脂肪の差異は小さかったが、みかけの脂肪蓄積率は顕著に増大し、成長や飼料効率も増大した。この結果から、コイの糖示利用能が高いこと、また高糖質飼料の給与は脂肪酸の生合成を促進することが示唆された。 そこで続いて、上記飼料を給与したコイの酵素や体成分を分析した結果、高糖質飼料の給与はグリコ-ゲン含量とともに、ペント-ス回路脱水素酵素と解糖酵素の活性を促進する一方、アミノ酸分解酵素と糖新生酵素の活性を抑制した。これと対照的に、高脂質飼料の給与はペント-ス回路脱水素酵素と解糖酵素の活性を低下させ、血清のトリグリセリドや遊離脂肪酸濃度を高めた。 最後に、種々の飼料条件で飼育したコイの肝膵臓切片を用いて、ラジオアイソト-プ実験により、グルコ-スとアミノ酸からの炭酸ガスの生成、ならびに脂質への取り込みを比較した。その結果、グルコ-スとアミノ酸からのトリグリセリドへの取り込みは、グルコ-スからの炭酸ガスの生成とともに、高糖質飼料区で最も高く、次いで高タンパク質飼料区で高く、高脂質飼料区と絶食区では最も低かった。 以上の結果から、糖質利用能の高いコイに対する糖質の給与は、糖代謝を賦活するとともに、ペント-ス回路脱水素酵素によるNADPHの供給を介して脂肪酸の生合成を促進する可能性が示唆され、したがってNADPHやAcetyl CoAの供給を通じて糖代謝と脂質代謝とが密接に関連していると推察された。
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