1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩沢 昌 東京大学, 農学部, 助手 (80134154)
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Keywords | 土壌水の移動 / 温度勾配による土壌水の移動 / マトリックポテンシャル / 不飽和透水係数 / 水分特性曲線 / 土壌物理学 |
Research Abstract |
土壌水はマトリックポテンシャルの勾配で移動するとともに、温度勾配で主に水蒸気で移動する。カラムに詰めた土の両端に温度差を与えると高温側から低温側に水蒸気の移動が低温側に向かって生じ、続いて水分量差によって生じるサクション勾配によって高温側への逆向きの液状水移動が生じる。水に解けたNaClのような溶質は、液状水とともに高側に移動して蓄積される。低水分土の水移動特性を調べるために、庄内砂丘砂を用い、カラム長12cm(1cmのアクリルリングを12個重ねたもの)、両端の温度を14℃と26℃として、この実験を行なった。試料の平均含水量を0.03〜0.065の3段階に調節し、一つの含水量に対して4〜5個の同一のカラムを作り、温度分布を測定するとともに実験開始後、順次切り出してカラム内の含水比、水分ポテンシャル、NaCl濃度の分布の時間変化を求めた。実験結果から、次の手順で不飽和透水係数と温度勾配による水蒸気移動係数を求めた。閉鎖カラムなのでNaCl存在量をカラム端から積分してのNaClの移動量を求め、これから液状水フラックスを求め、水の連続式から水蒸気フラックスを求めた。液状と水蒸気のフラックスをそれぞれマトリックポテンシャル勾配、温度勾配で除して移動係数が含水量の関数として得られる。得られた不飽和透水係数は体積含水率0.06から0.03で10^<-3>cm/day〜10^<-8>cm/dayであった。また、温度勾配に対する水蒸気移動は主に飽和水蒸気密度の温度勾配によって生じ、土壌に固有の移動メカニズムは、空気中と多孔体中の見かけの水蒸気拡散の比を表わす無次元ファクタβで表わされる。実験結果から求められたβの大きさは体積含水率0.03以下では0.3以下であるが、含水率0.04以上では1.0〜1.5の値をとなった。また、サイクロメ-タによる低水分のポテンシャル測定によって、マトリックポテンシャルと含水量の関係(水分特性曲線)の高水分から低水分までの曲線が得られた。このように、砂丘砂の基本的な水移動特性が得られた。
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