1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660246
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
深田 三夫 山口大学, 農学部, 助手 (20116750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 達朗 山口大学, 農学部, 教授 (50038238)
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Keywords | 土壌侵食 / リル / 形態解析 / フ-リエ解析 / フラクタル次元 |
Research Abstract |
リル網は屈曲した複雑な形態を有し、形状を数量的に取り扱うことは従来の幾何学の概念では困難である。本研究でははじめに,スペクトル解析や不規則な図形の貼雑さを示す指標として使われるようになってきたフラクタル幾何学の概念を適用して,斜面にできるリル網形態の数値化を行って形態と流出土宴量の間の関係について解析を試みた。 人工降雨によって斜面に発達したリル網の平面的,3次元的形状の時間変化の測定を行った。平面形態の経時変化の時性については,これまでの実験で,ある程度デ-タを蓄積しており(まさ土の場合),このデ-タも解析に用いた。平面形態の経時変化の測定は写真撮影により,また,横断面形態は新しく考案した接触型の形状測定装置と写真撮影とを併用して行ったが,リル発生初期のリルの形態が非常に複雑な場合には画像解析装置も用いて解析を行った。この結果,フラクタル次元およびパワ-スペクトルの経時変化はリル侵食初期において最も変動が激しいことがわかった。そしてそれに対応した土砂流出量も変化していることがわかった。次に土性の違いによるリル形態の変化を調べるために,粘土分含有率を変えた人工的な土を用いて実験を行った。その結果,砂・粘土混合比が大きくなるほど水みちは細くなり,深さ方向に侵食が進むが,混合比小の斜面は横方向の侵食が大きい。また,砂・粘土混合比が10%の場合,斜面の縦断面は舟底型になり,その後に下流側から水平に近づき,砂・粘土混合比が10%未満の場合は上流側で侵食された土砂が下流域に堆積し,その後上流側から水平に近づく。また,植物の成長および植被状態,降雨強度と土壌侵食量との相関関係を調べるために約10年に渡って集められたデ-タ(益田開拓地)の解析を行った。その結果,流亡量は降雨期間,降雨強度,植生の季節変化,耕作形態,マルチの敷設に左右されていることがわかり,今後は量的な解析を進める予定である。
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[Publications] 藤原 輝男,深田 三夫,本吉 文明: "裸地斜面におけるリルの平面および断面形態に関する研究" 山口大学工学部研究報告. 42(1). 87-95 (1991)
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[Publications] H.Cho,Michael J.Singer,T.Kusaka: "Soil Transportation by Uniform and Nonーuniform Overland Flow" Transaction of JSIDRE. 153. 31-36 (1991)