1991 Fiscal Year Annual Research Report
牛乳腺細胞における凍結保存法の検討ー細胞増殖への乳中生理活性物質の影響
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03660272
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
古村 圭子 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50173547)
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Keywords | コラ-ゲン・ゲル内包埋培養 / 凍結保存法 / 牛乳腺細胞増殖 / ^3Hーチミジン取り込み量 / メチルセルロ-ス / 牛胎子血清 / IGFーI / EGF |
Research Abstract |
1.乳生産量は乳腺細胞数と関係している。牛乳腺細胞の増殖の仕組みを解明するためには、牛自身の乳腺を用いて研究する必要がある。しかし産業家畜である牛は実験用にはたやすく供試出来ない。一方食用として供試された牛の乳房は廃棄物として処理されるため、その乳腺組織を活用して初代培養用乳腺細胞を得る事ができる。乳腺組織を酵素処理して得られた初代培養細胞は、長期間培養を続けてきた継代細胞を比べて、細胞の性質が変化(脱分化)していない。そこで牛を一頭供試した時に大量に得られる初代培養細胞を無駄なく利用し、必要な時にすぐ細胞が使用できる牛乳腺細胞の凍結保存法の検討を行った。凍結用培養液に牛胎児血清の代わりの物質を添加した場合の(1)乳腺細胞増殖(核への ^3HーチミジンTdR取り込み量及びDNA量)、(2)形態的変化(オ-トラジオグラフィARG及び組織学的観察)を測定して、血清添加の場合と比較検討した。 2.(1)泌乳牛4頭、去勢雄牛6頭、ホルモン処理羊6頭を供試した。(2)乳腺細胞塊を酵素処理により得た後、一部は直ちにコラ-ゲン・ゲル内包埋培養を行った。残りの細胞塊は10%牛胎子血清添加凍結溶液及び0.1%MC添加凍結溶液に再浮遊して液体窒素中で凍結保存した。(3)凍結3ヶ月後に解凍し培養を行い、乳腺細胞の増殖及び形態的変化について測定を行った。 3.(1)新鮮材料での培養において、泌乳牛は細胞増殖性及び形態的変化を示さず ^3HーTdR取り込み量及びDNA量も増加しなかった。しかし去勢雄牛及びホルモン処理羊では搾乳牛の10〜100倍高い取り込み量を示し、成長因子(EGF及びIGFーI)に対しても高い反応性を示した。(2)新鮮乳腺細胞塊で80%以上であった生存率は、3ヶ月凍結した細胞塊の解凍後では30%〜50%の範囲にあった。また血清添加区より0.1%MC添加区の方が高い生存率を示した。(3)凍結細胞の ^3HーTdR取り込み量及びDNA量は新鮮材料の50%以下の値であった。一方培養中の形態変化及び培養終了後のARG標本には新鮮材料のそれと比べて明かな違いは見られなかった。
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Research Products
(1 results)