1991 Fiscal Year Annual Research Report
鶏始原生殖細胞の細胞生物学的特性の解析と、その培養系の確立
Project/Area Number |
03660286
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西田 隆雄 日本大学, 農獣医学部, 教授 (20023426)
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Keywords | ニワトリ胚子 / 生殖腺組織 / 始原生殖細胞 / レクチン組織化学 / モノクロ-ナル抗体 |
Research Abstract |
ニワトリ胚子生殖腺における性分化にともなう始原生殖細胞の分化について、以下のような結果が得られた。 1・生殖腺組織の性分化は、胚体外組織に起源をもつ始原生殖細胞と、胚体内起源の体細胞系列との相互関係によって進行すると考えられる。この相互関係を明らかにするために、両細胞のレクチン結合パタ-ンの特異的変化によって示される糖鎖構造の動態を、ABC法(アビジンービオチン複合体法)によって検討した。その結果、GalNac結合型レクチンの一つであるBPAが6日齢から8日齢までの、ニワトリ生殖腺組織内の始原生殖細胞の形質膜および細胞質の糖鎖構造と、特異的に結合することが明らかにされた。この標識法の確立によって、精巣索および卵巣索(二次性索)形成が、始原生殖細胞と体細胞系列の協調によって進行し、体細胞によって形成された性索内に完全に包囲された始原生殖細胞が、BPA結合パタン-ンを消失し、それぞれの精祖細胞および卵母細胞に分化することが明らかになった。 2・ニワトリ始原生殖細胞は、生殖新月環期、移動期および生殖腺期を経て性分化するが、そのうち主たる生殖腺定着後の細胞分化の実態を明らかにするために、胚子生殖腺を免疫原として始原生殖細胞特異抗体を作製し、始原生殖細胞の細胞生物学的特性を検討した。この結果、生殖腺内において、体細胞系列にはまったく反応せず、始原生殖細胞にのみ反応するモノクロ-ナル抗体2C9が選別された。この反応は細胞質内に顆粒状の陽性反応として、性未分化期の3〜6日齢胚にみられた。雄では性分化期の6.5日齢以降も、同じ反応がみられるが、雌では8日目以降の始原生殖細胞には反応が認められなかった。この雌における反応の消失期は、始原生殖細胞への分化期と一致し、この抗体が卵祖細胞への分化を示す標識となりうることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] MAEDA,S.: "Immunohistochemical analysis of the stage specific antigen in the chick primordial germ cells." J.Vet.Med.Sci.(1993)
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[Publications] NAGANO,R.: "Changes of lectinーbinding patterns of chicken primordial germ cells." Histochemistry. (1993)