1992 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス関連物質による生殖活動抑制機序:電気生理学的解析
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03660308
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
西原 真杉 東京大学, 農学部, 助教授 (90145673)
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Keywords | ストレス / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / パルス状分泌 / 視床下部 / 腫瘍壊死因子 / プロスタグランジン |
Research Abstract |
哺乳動物においてはストレスが生殖機能に対する大きな阻害要因となっているが、ストレス、生殖機能それぞれの多様性から、その阻害作用を客観的に評価し、作用機序を解明することは容易ではない。しかし、我々は最近、多ニューロン発射活動(MUA)記録法を用いてパルス状黄体形成ホルモン(LH)分泌と同期して顕著に上昇する視床下部電気活動(MUA volley)を記録することに成功し、さらにこの神経活動が神経伝達物質阻害剤などに対し非常に明瞭な用量反応性を示すことなどから、生殖機能を評価するうえで極めて有用なパラメーターとなることを見いだした。本研究においては、多様なストレスの生体内における共通の中継物質となる腫瘍壊死因子(TNF)に着目し、そのMUA volleyおよびLH分泌に対する効果を検討し、ストレスによる生殖機能抑制機序を解明することを試みた。TNFの静脈内、あるいは脳室内投与は、ともに約1時間の潜時の後、MUA volleyを抑制することが示された。さらに、多くのサイトカインの中枢作用を中継しているプロスタグランジンの合成阻害薬であるインドメタシンを前処置してTNFの投与を行うと、末梢、中枢いずれの投与によってももはやTNFのMUA volleyに対する抑制効果は発現しないことが示された。これらの結果は、末梢、および中枢で産生されるTNFはいずれもプロスタグランジンを介して視床下部性腺刺激ホルモンパルスジェネレーターの電気活動を抑制し、LHのパルス頻度を低下させることにより性腺機能を抑制することを示唆している。TNFは血液脳関門を透過しがたい物質であるが、末梢のTNFは血液脳関門を欠く脳室周囲器官に作用し、アストロサイトなどからのプロスタグランジン放出を誘起するものと考えられる。このように、感染などのストレス時には、免疫系細胞がサイトカインを介して積極的に生殖機能を抑制する機構が存在することが明かとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Narita,K.,Yokawa,T.,Nishihara,M.,Takahashi,M.: "Interaction between excitatory and inhibitory amino acids in the ventromedial nucleus of the hypothalamus in inducing hyperーrunning" Brain Research. 603. 243-247 (1993)
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[Publications] Hiruma,H.,Nishihara,M.,Kimura,F.: "Hypothalamic electrical activity that relates to the pulsatile release of luteinizing hormone exhibits diurnal variation in ovariectomized rats" Brain Research. 582. 119-122 (1992)
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[Publications] 西原 真杉、比留間 弘美、森 裕司: "視床下部電気活動のモニター法ーGnRH分泌にともなう神経活動の変化ー" 日本内分泌学会雑誌. 68. 1-10 (1992)
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[Publications] Nishihara,M.,Hiruma,H.,Kimura,F.: "Interaction between the noradrenergic and opioid peptidergic systems in controlling the electrical activity of luteinizing hormoneーreleasing hormone pulse generator in ovariectomized rats" Neuroendocrinology. 54. 321-326 (1991)
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[Publications] Kimura,F.,Nishihara,M.,Hiruma,H.,Funabashi,T.: "Naloxone Increases the frequency of the electrical activity of luteinizing hormone‐releasing hormone pulse generator in long‐term ovariectomized rats." Neuroendocrinology. 53. 97-102 (1991)
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[Publications] 西原 真杉、比留間 弘美、貴邑 冨久子: "内分泌リズムと視床下部電気活動" ホルモンと臨床. 39. 529-535 (1991)
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[Publications] Nishihara,M.,Hiruma,H.,Kimura,F.: "Brain Control of the Reproductive System" Japan Scientific Societies Press, 193 (1992)
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[Publications] Nishihara,M.,Mori,Y.,Yoo,M.‐J.,Takahashi,M.: "Pulsatility in Neuroendocrine Systems" Academic Press, (1993)