1992 Fiscal Year Annual Research Report
ウマの血清中諸種急性相蛋白測定による炎症性病態の診断法の確立
Project/Area Number |
03660317
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤永 徹 北海道大学, 獣医学部, 教授 (50181376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 信哉 北海道大学, 獣医学部, 助手 (10219644)
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Keywords | α_2‐マクログロブリン / α_1‐酸性糖蛋白 / ウマ / 血清アミロイドA蛋白 / 急性相蛋白 / 酸可溶性蛋白 / C-反応性蛋白 / セルロプラスミン / ハプトグロビン |
Research Abstract |
平成4年度は,研究計画に従って血清アミロイドA蛋白(SAA)およびα_2‐マクログロビン(α_2MG)について検討するとともに,これまで明らかにした他の急性相蛋白を含めて,炎症性疾患のウマの急性相蛋白測定の意義を総合評価した。 ウマSAAの血中濃度の正常値を初めて明らかにしたが,年齢に伴い漸増する点ではヒトと同じであった.周産期におけるSAA濃度変動は,分娩直後に一過性に急増し,分娩の炎症としての側面を反映していると考えられた.炎症性疾患馬のSAA濃度は,炎症初期に著増し,炎症の消退にともなって速やかに減少することから,SAA濃度の変動は炎症作用のみに影響されており,炎症マーカーとしての有用性を示した. ウマα_2MGは分子量約708千の糖蛋白でヒトのそれと共通抗原を有していた。正常馬血清中のα_2MG濃度の加齢性および周産期変動を明らかにし,次いで実験的炎症作出馬および炎症性各種症例馬血清中のα_2MG濃度を測定したが,α_2MGはウマにおいては急性相蛋白とは判定されなかった。 これまで明らかにしたウマの急性相蛋白,C-反応性蛋白(CRP),セルロプラスミン(CP),α_1‐酸性糖蛋白(α_1AG),酸可溶性蛋白(ASP),ハプトグロビン(HG),および先のSAAとα_2MGについて総合的に比較すると,炎症に対する反応性が最も速い蛋白はSAAで処置後2日目には処置前値の数十倍から数百倍にも上昇する.次はα_1AGとCRPで,HGは処置後4,5日目に,ASPは処置後5日目に上昇を示した.CPは処置後6〜7日目上昇を示した.また,SAAとCRPはその血中濃度が良く相関したが,前者が特に鋭敏であった。SAAの増幅度合はCRPのそれより明らかに大きく,より鋭敏な指標としての活用が期待される.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Taira,T.,Fujinaga,T.,Okumura,M.,Yamashita,K.,Tsunoda,N.,& Mizuno,S.: "Equine haptoglobin:Isolation,characterization,and the effects of ageing,delivery and inflammation on its serum concentration." J.Vet.Med.Sci.54. 435-442 (1992)
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[Publications] Taira,T.,Fujinaga,T.,Tamura,K.,Izumi,M.,Itoh,H.,Tsunoda,N.,Yamashita,K.,他2名.: "Isolation,characterization of α_1-acid glycoprotein from horses,and its evaluation as an acute-phase reactive protein in horses." Am.J.Vet.Res.53. 961-965 (1992)
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[Publications] 奥村 正裕,山下 和人,平 知子,浅野 和之,布川 寧,滝口 満喜,藤永 徹.: "ウマの急性相蛋白." 家畜生化学研究会報.9-18 (1992)
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[Publications] Fujinaga,T.,Nunokawa,Y.,Taira,T.,Okumura,M.,Yamashita,K.,他2名.: "Evaluation of serum amyloid A protein as an acute-phase reractive protein in horses." J.Vet.Med.Sci.55. (1993)
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[Publications] 布川 寧,山下 和人,角田 修男,水野 信哉,萩尾 光美,藤永 徹.: "ウマの急性相蛋白に関する研究.7.ウマ血清アミロイドA蛋白の急性相蛋白としての評価." 第113回日獣学会講演要旨集.254 (1992)
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[Publications] 山下 和人,平 知子,布川 寧,奥村 正裕,児玉 道,他2名,萩尾 光美,藤永 徹.: "ウマの急性相蛋白に関する研究.8.ウマ血清IL-6用活性と急性相蛋白." 第114回日獣学会講演要旨集.270 (1992)
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[Publications] 中村 紀文.奥村 正裕,角田 修男,水野 信哉,萩尾 光美,藤永 徹.: "ウマの急性相蛋白に関する研究.9.α_2マクログロブリンはウマでは急性相蛋白ではない." 第115回日獣学会講演要旨集.(1993)