1992 Fiscal Year Annual Research Report
和牛に多発する遺伝性出血制疾患の保因牛スクリーニングに関する研究
Project/Area Number |
03660324
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小川 博之 宮崎大学, 農学部, 助教授 (30012016)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 良二 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90150169)
加世田 雄時朗 宮崎大学, 農学部, 助教授 (70041019)
牧村 進 宮崎大学, 農学部, 教授 (80003127)
|
Keywords | 牛 / 出血性素因 / 血小板 / 第VIII因子 / 第XIII因子 / 遺伝スクリーニング |
Research Abstract |
1982年から1992年までの11年間に、南九州でわれわれが収集した出血牛は 192頭に達し、特に本年は60頭を越える発生があった。生存例に対しては母牛も含め、原則として一般血液検査とともに止血スクリーニング検査を行ない、死亡例に対しては病理検査を行った。また、出来る限り血統書の入手に努めた。止血スクリーニング検査の項目は血小板数、血小板凝集能(ADP、コラーゲン、5‐HT)、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン量とし、一部の例については出血時間、血小板成分分析、凝固因子(II、V、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII)活性の測定を追加した。また、止血検査以外に被毛、眼底の検査も行った。 この中で本年は、凝固因子の検索を中心に研究を進め、中でも昨年度から発生頭数が急増した臍帯出血を主徴とし、これまで診断が確定したChediak‐Higashi症候群(C‐HS)、第VIII因子異常症とは症状、検査所見とも異なる疾患の究明に努めた。その結果、本疾患が動物では末だ報告されていない第XIII因子欠乏症であることが判明した。現在、母牛、種雄牛の第XIII因子を定量するとともに、血統調査を行い遺伝様式の解明を行っている。本疾患の解明により、南九州の黒毛和種牛に発生する出血性疾患は血小板減少症など発生数の少ないものを除けば、C‐HS、第VIII因子異常症、第XIII因子異常症の3疾患にほぼ分類出来るものと考えられ、今後、保因牛の遺伝スクリーニングを行える段階になった。
|