1993 Fiscal Year Annual Research Report
受精能獲得と透明帯付着機構に関する精子の形態学的研究
Project/Area Number |
03670004
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
豊田 二美枝 千葉大学, 医学部, 助教授 (60009751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 眞美子 千葉大学, 医学部, 助手 (20181571)
永野 俊雄 千葉大学, 医学部, 教授 (60009082)
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Keywords | マウス精子 / SP56 / 透明帯認識結合タンパク質 / 抗SP56モノクローナル抗体 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 金コロイド標識レプリカ法 |
Research Abstract |
マウス精子のもつ蛋白質SP56(Mr56,000kD)は、マウス卵の透明帯を構成する糖蛋白質の一つZP3と特異的に結合する(Bleil JD & Wassarman PM 1990:Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87;5563-5567)。我々は形態的アプローチからDr Bleilと共同でこの蛋白質が同種卵の認識と透明帯への付着に関与する証拠をえた。マウス精子の頭部は特有な釣り針状をしているが、モノクローナル抗体によりSP56局在を先ず共焦点顕微鏡で調べた所、SP56は先体部の辺縁に三ケ月状に分布し、既報のZP3の結合位置と一致することがわかった。又これは受精のさいにマウス精子が透明帯に付着する位置ともよく一致する。更に我々は免疫-金コロイド法と表面レプリカ法を組み合わせて、細胞膜表面にある抗原物質の局在を細胞全景の中で電子顕微鏡レベルでとらえる方法を開発した。免疫反応により細胞膜表面に付着した金粒子はPt-C蒸着時にトラップされて、精子が溶解された後もレプリカ膜に残留し、抗原の位置を示しうる。方法はマウス精巣上体精子をWM溶液中で1時間培養した後、1%パラフォルムアルデヒド溶液で固定し、洗浄後、APES処理したスライドグラスに付着させた。ブロッキング後、上記一次抗体で処理し、金粒子標識二次抗体を作用させ、グルタールアルデヒドで再固定後、エタノール系列で脱水、酢酸イソアミルを中間液として臨界点乾燥し、ガラス上の精子のPt-Cレプリカを作成した。ハイター原液でレプリカ膜をガラス面から剥がし、精子を溶解、水洗後グリッドに掬い、透過電顕で検鏡した。表面レプリカ法による観察では後輪(頭部と頚部の境界線)や先体の後端、辺縁部などが明瞭に識別できる。又精子尾部の捩れの様子が全長にわたって観察できるので、運動の状態と尾部の捩れとの関連を調べる手段となりうる。本法によりSP56は精子頭部最尖端部には存在せず、上記先体辺縁部を被う細胞膜外表面に局在する事が確認された。
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