1992 Fiscal Year Annual Research Report
急速凍結・ディープエッチング法による赤血球膜細胞質側の超微形態学的研究
Project/Area Number |
03670007
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
大野 伸一 山梨医科大学, 医学部, 教授 (50109170)
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Keywords | 赤血球 / 膜骨格 / 急速凍結技法 / ディープエッチング / 形態異常赤血球 |
Research Abstract |
平成3年度に赤血球膜細胞質側を高解像力で三次元的に解析する急速凍結・ディープエッチング法を開発したが、本年度は、膜骨格蛋白の免疫染色によりその局在と結合様式を明らかにした。またヒトの遺伝性球状赤血球症や楕円赤血球症などでは、スペクトリン蛋白などの欠損あるいは異常によることが示唆されているので、この方法による病理形態学的解析を行なった。(1)ヒト赤血球をヘパリン処理し遠沈分離して赤血球ペレットを作成し、2%パラフォルムアルデヒドで固定後、二分割する。(2)一次抗体としてスペクトリン蛋白等に対する抗体で免疫染色する。(3)二次抗体としてコロイド金標識あるいはペルオキシダーゼ標識抗体で免疫染色する。(4)0.25%のグルタールアルデヒドで後固定する。氷晶形成防止のため10%メタノール水に浸ける。(5)次いで液体窒素で冷却したイソペンタン・プロパン混合液(約-193℃)中あるいは純銅圧着法で急速凍結する。(6)ターボ分子ポンプ装備エイコー社製装置内(-95℃、2-6X10^<-7> Torr)でディープエッチング(氷を昇華)をかける。(7)白金と炭素を回転蒸着して、型のごとくレプリカ膜を作成する。(8)レプリカ膜を電顕でステレオ写真を撮り、三次元的解析を行なう。以上の方法により、ヒト赤血球膜細胞質側のスペクトリン網状構造のin situ局在を明らかにすることができた。次ぎにヒト赤血球形態異常疾患の中でも頻度が高い遺伝性球状赤血球症および遺伝性楕円赤血球症の赤血球を上記のように一分割してレプリカ膜を作成して、赤血球膜細胞質側の超微形態学的変化を解析した。正常構造に比較してスペクトリン網状構造は減少し、顆粒状構造が多く観察された。以上より赤血球形態異常では膜骨格蛋白質の結合異常が考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shinichi Ohno et al.: "Ultrastructural study of the glomerular slit diaphragm in fresh unfixed kidneys by a quick-freezing method" Virchows Archiv B Cell Pathol.61. 351-358 (1992)
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[Publications] Shinichi Ohno: "An ultrastructural study of cytoplasmic aspects of erythrocyte membranes by a quick-freezing and deep-etching method" J.Anat.180. 315-320 (1992)
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[Publications] 大野 伸一: "急速凍結技法による腎糸球体上皮間隙膜の超微形態学的解析" 腎と透析. 32. 199-207 (1992)
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[Publications] 大野 伸一: "生体内凍結技法" 細胞. 25. 99-104 (1993)
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[Publications] Shinichi Ohno: "Immunocytochemical study of membrane skeletons in abnormally shaped erythrocytes as revealed by a quick-freezing and deep-etching method" Virchows Archiv A Pathol.Anat.(1993)
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[Publications] 大野 伸一他: "急速凍結・ディープエッチング(QF-DE)法による赤血球膜細胞質側の超微形態学的研究" 第98回日本解剖学会総会. (1993)