1992 Fiscal Year Annual Research Report
人工変異体を用いたヘモグロビン生理機能の分化の研究
Project/Area Number |
03670037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 清博 大阪大学, 医学部, 助教授 (50028528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 源太郎 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (50166146)
渡邉 学 大阪大学, 医学部, 助手 (30182950)
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Keywords | 人工変異体 / ヘモグロビン / 部位特異的変異導入 / 蛋白質工学 / 機能分化 / 機能の模擬 / ワニ・ヘモグロビン / ウシ・ヘモグロビン |
Research Abstract |
種々の動物でみられる、棲息環境に応じたヘモグロビン(Hb)機能の分化を、成人Hbの人工変異体を用いて模擬する実験を行った。人工変異体は、遺伝子組換えによる部位特異的変異導入法により、特定のアミノ酸置換をコードするグロビン遺伝子を大腸菌中で発現させることによって合成した。 前年度に引き続き、炭酸水素イオンHCO^3~には特異的に応答するが、2,3-diphosphoglycerate(DPG)には応答しないワニ類Hbの機能を模擬するため、ワニのβ鎖のアミノ酸残基の中で、HCO^3~結合に関与すると考えられている残基を取り入れ、また、ヒトのβ鎖でDPG結合に関与する残基を他の残基に置換するように、ヒトのβ鎖の1、2、90、94、135、143、144番目の残基の1部または全部を置換した変異体3種類を合成した。これらの変異Hbの酸素平衡曲線を種々の溶液条件下で測定し、解析した結果、DPGの効果がほとんど消減した点ではワニHbの機能を模擬したことになるが、HCO^3~の効果はむしろヒトHbのそれより減少した。これらの実験に加えて、天然のワニ(CaimanとNileワニ)の酸素平衡曲線を、変異体のと共通の溶液条件下で測定して、比較の対象とした。 次に、赤血球内にDPGなどの酸素親和性調節因子がないのに、本質的に低い酸素親和性をもち、DPGに応答しないウシHbの特性を模擬するため、Perutz & Imai(1980)の仮説に基づいて、β鎖の2番目のHisをPheに置換したHbおよび、1番目のValを欠失し、2番目のHisをMetに置換したHbを合成した。それらのDPG効果は期待通り減少したが、酸素親和性は低くならずに、むしろやや上昇した。 以上の結果は、従来Perutzらによって提唱されたワニHbのHCO^3~応答性やウシHbの低酸素親和性の原因となるアミノ酸残基の相違のみでは不十分で、他の残基も考慮に入れなければならないことを示している。
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Research Products
(1 results)