1992 Fiscal Year Annual Research Report
内因性プラスミノーゲン・アクチベーター放出機作の研究とその血栓溶解への応用
Project/Area Number |
03670039
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
三原 恒 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (20030843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉木 雅彦 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00226440)
吉田 悦男 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30220627)
丸山 真杉 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (40173968)
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Keywords | みみず / 線溶酵素 / t-PA / ウロキナーゼ / 血栓溶解 |
Research Abstract |
みみずの乾燥粉末をヒトに経口投与により、血中線溶活性の亢進とtissue Plasminogen Activator(t‐PA)抗原量の上昇が観察された。そこで本研究ではみみず乾燥粉末が如何にして内因性のt‐PAを放出するのかを追求することを目的とした。 ヒトの内因性t‐PA放出を観察するには、t‐PA抗原量測定キットが用いられるが、動物実験の場合は、そのような手段はなく、他の方法を考案しなければならなかった。最初、ラットの腹腔中の種々の蛋白分解酵素を、それ自身では線溶活性がない量を投与後、その腹腔内を経時的に洗滌し、その洗滌液をZymographyにより観察した。その結果、トリプシン、キモトリプシン及びウロキナーゼの投与後、分子量10万から5万の強い線溶活性物質が腹腔内に出現することが観察され、明らかに内因性の線溶物質が放出される事を確認した。この方法を用い、みみずの線溶酵素を同様に投与することを企図した。しかし、腹腔内投与による内因性PAの放出機作と、経口投与によるPAの放出機作とは生理学的に異なる機構によるものという疑問が出てきた。そこで、経口投与時、最初に反応が起こる場としての小腸ならびに血管壁を用いたPA放出機作を研究するべきであると考えた。そこでラットの小腸ならびに大動脈を摘出し、それぞれ9mm^2の小腸片と大動脈片を作成し、それにみみず粉末を10倍量の生理的食塩水に溶解後、その上清を採取し、この上清を小腸片及び大動脈に添加、さらにプラスミノーゲンならびにプラスミンの特異的合成基質であるS‐2251を加えて37℃に30分加温後、そのプラスミン活性を測定した。その結果、みみず乾燥粉末の生理的食塩水の上清は明らかにPAを放出することが確認された。この方法は動物実験によるPA放出を観察するには有効な方法であり、みみずのなにが、このPA放出を行なうか、さらに研究を進められることができるまでに至った。
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