1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670042
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (60129608)
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Keywords | β型介在細胞 / G蛋白 / isoproterenol / prostaglandin E_2 / 百日咳毒素 |
Research Abstract |
当初、初年度に提出した実験計画に沿って、単離尿細管の微小潅流を行いβ型介在細胞の細胞内pHにおよぼすisoproterenolとprostaglandin E_2の作用を確認した。傍基底膜側へのisoproterenolの添加はCl^ー/HCO_3^ー交換系の活性化を介して有意の細胞内pHの低下を生じ(7.21±0.05から7.04±0.06へ)、この反応は10^<ー6>Mのprostaglandin E_2を傍基底膜側潅流液に添加し尿細管を15分間前処置することにより完全に消失した。そこで、G蛋白の関与を証明するため、百日咳毒素を傍基底膜側潅流液に添加し、60ー120分間尿細管を前処置した後、同様にisoproterenolを添加し細胞内pHの変化を検討した。しかし、isoproterenolへの反応性は、2回の実験で減弱がみられたものの、その他の3回の実験では、全く影響がみられず、一定の効果を判断することは不可能であった。さらに高濃度の百日咳毒素による実験も考慮したが、潅流実験に用いる溶液は常に95%O_25%CO_2によりbabblingする必要があり、また、潅流ポンプにより3ml/分の速度で常に潅流槽の溶液を交換する必要があることなどから、物理学的刺激により、毒素の変性を生じる可能性が高いと考えられ、さらに、比較的大量の潅流液を要することから、試薬の費用が高額になることなどより、単離尿細管による実験を断念し、最近当研究室で成功した細胞分離装置により単離したβ型介在細胞を用いることに計画を変更した。単離β型介在細胞は、単離尿細管と同様に、isoproterenolに反応性を有し、adenyloate cyclase活性化を生じることが確認された。さらに、単一細胞の細胞内Ca濃度を測定したところ、prostaglandinE2に反応して一過性の上昇が認められ、protein kinase CとG蛋白の関与が強く示唆された。現在、このCa濃度上昇機序を中心として検討中である。
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