1991 Fiscal Year Annual Research Report
光学的測定による骨格筋・心筋細胞内遊離マグネシウム濃度の定量とその変動の解析
Project/Area Number |
03670043
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小西 真人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20138746)
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Keywords | 細胞内Mg濃度 / Mg指示薬 / furaptra / 骨格筋線維 / NaーMg交換系 |
Research Abstract |
Mg/Ca指示薬、furaptraのMg^<2+>およびCa^<2+>に対する解離定数(K_D)をin vitroの系で測定した。Mg^<2+>に対するK_Dは17℃で5.5mM、32℃で2.6mMであり、Ca^<2+>に対するK_Dは17℃で44μMであった。溶液のpHを6.5〜7.2の範囲で変化させても、furaptraの螢光励起スペクトルおよびMg^<2+>、Ca^<2+>に対するK_Dはほとんど影響をうけなかった。 蛙骨格筋の前脛骨筋より単一筋線維をとり出し、17℃に保ったRinger液でかん流した。筋線維自身の吸光度、背景蛍光強度を広い波長範囲(330um〜420um)で測定した後、微小電極の先端に充墳したfuraptraを細胞内に圧注入した。furaptra注入後、細胞内からの蛍光励起スペクトルを測定した。このスペクトルを背景螢光と細胞による吸光の補正をして、細胞内furaprtaの螢光励起スペクトルを得た。furaptraの細胞内励起スペクトルはin vitroのそれと非常によく一致し、細胞内Mg濃度は(解離定数を5.5mMと仮定すると)約0.6mMであることが示唆された。細胞外Mg濃度を20mMに増加しても、また細胞外Na濃度を減少させても、furaptra螢光信号は数分以内には有意な変化を示さなかった。この結果はMg選択性電極を用いたBlatterの報告(1989)を支持しなかった。また高Mg溶液(20mM)に長時間(2〜10時間)筋線維をインキュベ-トしても、furaptra螢光信号はわずかに変化したにすぎなかった。この結果より、骨格筋細胞内Mg濃度は0.5〜1mMの静止レベル付近で比較的安定に保たれており、速い時間経過の細胞機能制御因子である可能性は低いと考えられた。また他の組織で示唆されているNaーMg交換系は骨格筋では重要な役割をはたしているとは考えにくい。
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