1991 Fiscal Year Annual Research Report
非ふえる熱産生発現の多重性細胞内調節機序ーグルカゴン及びβ3アゴニストの役割
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03670072
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
八幡 剛浩 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60041828)
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Keywords | 寒冷馴化 / 非ふるえ熱産生 / 褐色脂肪組織 / 組織細片 / 酸素消費量 / ノルアドレナリン / グルカゴン / サイクリックAMP |
Research Abstract |
寒冷馴化、過食、ストレスなどで亢進する非ふるえ熱産生(NST)の発現におよぼすノルアドレナリン(NA)およびグルカゴン(G)の役割を明らかにするために、種々温度環境に馴化したラットのこれら因子に対する反応性をin vivo、およびその主要な発現部位である褐色脂肪組織(BAT)についてin vitroで比較検討した。 温緩対照群(WC)、寒冷馴化群(5℃、4週間:CA)、反復寒冷曝露群(1日6時間寒冷曝露、4週間:ICE)、歴代寒冷馴化群(GC)及びその脱馴化群(DGC)の、in vivoでのNAに対するNST反応性を見ると、CA、ICE、GCでともにWCより2倍以上亢進していた(p<0.001)。一方DGDではWCと差がなかった。また、雌雄でNST反応性に差は見られなかった。 BAT細片の酸素消費量を測定することによりin vitroのNST能を検討したところ以下のことが明かとなった。1.各群においてNAとGは同程度にNSTを亢進させた。2.WC.DGCでは、NA、Gとも安静時の約3倍の酸素消費量の増加を起こした。3.in vivoの結果とことなり、CA、DGCでは、NA、Gによる反応は著しく抑制され約0.7倍の増加にすぎなかった。4.ICEでも反応性の抑制がみられたが、その程度は低く、NA、Gによる増加は約2倍であった。5.ジブチルcAMPは各群においてNA、Gと同じ様なパタ-ンの反応を起こした。6.infusion pumpによるNA持続投与は寒冷馴化をシミュレ-トしたが、NA、G反復投与では反応性の低下はみられなかった。 これらの結果は、寒冷馴化時には,NAの持続的な作用により、セカンドメッセンジャ-以降のシグナル伝達系でBAT細胞の反応性が抑制されていることを示している。このことはBATの過度の熱産生による自己崩壊を防ぐために役だっているものと考えられる。
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