1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670075
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
根来 英雄 福井医科大学, 医学部, 教授 (90018903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 和正 福井医科大学, 医学部, 助手 (50143946)
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Keywords | 飲水行動 / 浸透圧受容 / 視床下部 / 視索上核 / OVLT / 視索前核 |
Research Abstract |
我々は、血漿浸透圧と脳の細胞外液の浸透圧のいずれにも感受性を持つ神経回路が、終板の脈管器官(OVLT)ー正中視索前核(MnPO)ー視索上核(SON)の間に存在することを認め、その回路が下垂体後葉ホルモンの分泌調節に関与する系であることを明らかにしてきた。本研究では、本年度にまず、この浸透圧受容機構が下垂体後葉ホルモンの分泌のみならず飲水行動発現にも関与するかどうかを検討する実験を行った。 [高張脳脊髄液脳内投与の飲水行動に及ぼす影響] 雄ラットのOVLT、MnPO、SONに慢性的にマイクロインジェクション用カニュ-レのガイドチュ-ブを植え込んだ。等張の人工脳脊髄液を作製し、これにNaClを加えて400mOsmul、1200mOsm/l相当の高張液を調製し、これらの液をカニュ-レを通してOVLT、MnPO、SONおよびその周辺領域に0.2μlづつ注入した。動物の飲水量は注入の前後30分に亘り、ドリンコメ-タ-により測定した。その結果、OVLT、MnPO、SONのいずれの部位に高張液を微量注入しても飲水行動が誘発されることが明かとなった。 [浸透圧性受容性神経回路の可逆的遮断の効果] 上記実験と同様にOVLT、MnPO,SONにガイドカニュ-レを慢性的に植え込んだラットを作成した、実験前夜から4時間絶水させ、上記部位のいずれかの部位にコントロ-ル群には等張脳脊髄液を、実験群には10%リドカインを0.2μl注入し、飲水量を比較した。その結果、リドカインで神経回路遮断をしたラットでは飲水開始後5〜10分間の飲水量が著しく減少することが分かった。 [結論] 以上の実験から、OVLTーMnPOーSONの神経回路は視床下部下垂体後葉系の活動の浸透圧性調節のみならず、飲水行動の浸透圧性調節にも関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)