1992 Fiscal Year Annual Research Report
各種温度馴化、運動鍛錬が老化促進モデルマウス(SAM)の寿命に及ぼす影響
Project/Area Number |
03670076
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳平 坦徳 信州大学, 医学部・環境生理学, 講師 (10020760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 照 信州大学, 医学部・脂質生化学, 助手 (30020803)
米村 勇 東京医科歯科大学, 医学部・法医学, 講師 (30020762)
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Keywords | 老化促進モデルマウス(SAM) / 寿命 / 食物摂取量 / 酸素消費量 / もどし交配 / 温度馴化 / JP(寿命蛋白) / 中性温度域 |
Research Abstract |
老化促進モデルマウス(SAM)において、我々は短命系のP/2(寿命約8.8ケ月)と長命系(寿命約12.4ケ月)を用い、それらの生理学的特性を両系統間で比較してみた。その結果P/2の代謝は食餌性を中心とする食物および水分摂取量、身体全体の代謝を示す酸素消費量(Vo_2)がR/1より著しく高いことを見い出した。また体温を考慮した熱貫流率では、P/2の系統の熱効率が悪いという結果となった。両群の毛皮重量を比較するとR/1>P/2(P<0.01)となり、Vo_2の上昇は断熱性の減少が原因していると考えられた。これらの結果はP/2群では無駄なエネルギーの消費が行われ、それが短命に結びついていることが示唆された。生理学的形質の遺伝をみるためにP/2♂とR/1♀のF_1交配実験を行った。その結果、全ての生理学的特性はR/1系依存型を示した。特に体重、食物および水分摂取量、Vo_2など代謝に関する項目では、ほとんどR/1≒(P/2♂×R/1♀)となった。これは明らかにR形質が優性であると考えられる。そこでPXF_1の戻し交配をP♂×F_1♀で求め、さらにその生理学的特性を調べてみた。この結果はP/2とR/1の中間的な値が得られたが、完全に生理学的特性が遺伝的であるという証明は得られなかった。なぜならばそれらの値は幼児期のバラツキが小さく、成長に伴いバラツキが増大すという結果となり、老化との関係が強いことも示唆されたからである。代謝は馴化温度で著しく変化することはよく知られている。そのため、馴化温度を30、24、10℃の3階段でマウスを飼育し、生理的形質および寿命を検討してみた。その結果30℃の温度馴化によりP/2のみ、Vo_2の増加が認められ、この群が中性温度域の狭いことが確認された。また寿命もこの群で短縮された。次にショウジョジョエで見い出されたJP蛋白投与により延命効果がR/2で認められた。次回は運動鍛錬と寿命との関係を明らかにする予定である。
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[Publications] 柳平 坦徳 他: "寿命の遺伝生理学的研究老化促進モデルマウス(SAM)の寿命差と生理学的諸性質" 老化促進モデルマウス(SAM)研究協議報告書. 8. 39-40 (1991)
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[Publications] 柳平 坦徳 他: "老化促進モデルマウス(SAM)のF_1雑種における生理学的研究" 基礎老化研究. 15. 120-121 (1991)
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[Publications] 柳平 坦徳 他: "SAM P/2,R/1およびF_1の熱産生と断熱性" 老化促進モデルマウス(SAM)研究協議報告書. 9. 9-10 (1992)
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[Publications] 柳平 坦徳 他: "老化促進モデルマウスP/2とR/1の代謝特性と寿命" 日本生気象学会雑誌. 29. 184- (1992)
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[Publications] A.Okano et al: "Purification and characterization of a protein associated with gentically-determined longevity difference in Drosophila melanogaster" Hereditas. 117. 251-258 (1992)
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[Publications] 柳平 坦徳 他: "低温および高温飼育におけるSAMの生理学的特性" 老化促進モデルマウス(SAM)研究協議会. 10. (1993)