1991 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス・免疫系応答における視床下部ー自律神経制御機構と第III脳室周囲器官の役割
Project/Area Number |
03670079
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 助手 (80177401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海塚 安郎 九州大学, 医学部, 助手 (00224329)
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Keywords | 脳ー免疫系連関 / 脾臓交感神経 / 脾臓ナチュラルキラ-細胞 / 脳オピオイド受容体 / インタ-フェロンα / β受容体 / 視索前野 / 前視床下野 |
Research Abstract |
本研究では、ストレス・免疫系応答における視床下部ー自律神経系制御機構の役割を検討するため、脳オピオイド系の賦活による脾臓ナチュラルキラ-(NK)細胞活性の抑制と視床下部ー交感神経系の関与について以下のことを明らかにした。(1)脳オピオイド受容体に結合することが知られているインタ-フェロンα(IFNα)をラット側脳室に微量注入すると、注入後30分で脾臓のNK細胞活性が低下し、オピオイド拮抗薬のナルトレキソンの前投与で活性低下が阻害された。このNK細胞活性の抑制は、脾臓交感神経によって、脾臓交感神経の電気的活動が、10ー20分の潜時で数時間にわたり著明に増加し、ナロキソンの静注で一過性に抑制された。(3)脾臓交感神経の電気刺激で脾臓NK細胞活性が低下し、βアンタゴニストの前投与で完全に阻害された。αアンタゴニストは影響しなかった。(4)視索前野/前視床下野(POA)には、INFα感受性ニュ-ロンが存在し、またこの部位にβエンドルフィンを投与すると脾情のNK細胞活性が低下することはすでに報告した。POAを両側府壊すると、20分後には脾臓NK細胞活性が低下した。脾臓の交感神経を切除しておくと、この抑制は完全に消失した。脾臓交感神経の活動はPOAの破壊で数時間にわたり増加し、刺激で逆に活動が低下した。以上のことから、ストレスあるいはINFαによる脳内オピオイド受容体の活性化は、20ー30分の比較的速い時間経過で脾臓交感神経の活動を促進し、神経終末から放出されたノルアドレナリンのβ作用を介して、脾臓NK細胞活性を抑制することが明らかになった。また、POAは、脾臓交感神経を抑制性に支配することによって、交感神経ー脾臓NK細胞活性制御系の上位中枢の一つとして、重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Hattori,Y.: "Characterization of opioidーsensitive neurons in the anteroventral third ventricle region of polydipsic inbred mice in vitro." Brain Research. 538. 283-288 (1991)
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[Publications] Katafuchi,T.: "κーopioid antagonist strongly attenuates drinking of genetically polydipsic mice" Brain Research. 546. 1-7 (1991)
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[Publications] Katafuchi,T.: "Involvement of angiotensin II in water intake of genetically polydipsic mice." American Journal of Physiology. 260. R1152-R1158 (1991)
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[Publications] Take,S.: "Central interferon α suppresses the一cytotoxic activity of natural killer cells in the mouse spleen." Annals New York Academy Science. (1991)
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[Publications] Katafuchi,T.: "Central administration of interferonーα enhances rat sympathetic nerve activity to the spleen." Neuroscience Letters. 123. 37-40 (1991)
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[Publications] Hori,T.: "Immune cytokines and regulation of body temperature,food intake and cellular immunity." Brain Research Bulletin. 27. 309-313 (1991)
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[Publications] 堀 哲郎: "脳・免疫関連における交感神経系の役割" 生体の科学(特集ー脳と免疫). 42(1). 12-16 (1991)
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[Publications] 片渕 俊彦: "神経系による免疫応答の調節" 臨床免疫. 24(1). 99-108 (1992)
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[Publications] 片渕 俊彦: "脳ー免疫系連関と第III脳室周囲器官" BIOmedica. 7(3). 300-304 (1992)
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[Publications] Hori,T.: "New Trends in Autonomic Nervous System Research" 4 (1991)