1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 進 東北大学, 薬学部, 教授 (80004604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比佐 博彰 東北大学, 薬学部, 助手 (60192712)
草場 美津江 東北大学, 薬学部, 助手 (50175311)
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Keywords | シクロスポリン / 腎臓 / 交感神経系 / ノルエピネフリン / エンドセリン |
Research Abstract |
本研究では、神経性腎機能調節に対するシクロスポリン(CS)の作用を解析する第一段階として、麻酔下イヌ生体位腎における交感神経伝達におよぼす影響を検討した。また、CSの腎作用には内皮細胞由来の血管収縮物質であるエンドセリン(ET)の産生が介在すると報告されていることから、外因性ETの作用も併せて検討した。 低頻度および高頻度の腎神経電気刺激(RNS)は腎静脈血中ノルエピネフリン(NE)濃度および腎からのNE流出量を増大させ、腎血流量を減少させた。CSの腎動脈内持続投与により非RNS時の腎血流量は約20%減少したが、低頻度RNSによる腎血流量減少およびNE放出反応は影響を受けなかった。高頻度RNS時の腎血流量減少およびNE濃度・流出量の増加はわずかに減弱した。一方、ETは腎血流量を減少させない用量においても、低頻度RNSに誘起されるNE濃度上昇を約30%抑制した。NE流出量の増大も約40%抑制された。高頻度RNSによるNE放出反応はETに影響されなかった。対照実験として被検薬物の代わりに生理食塩水を投与した場合、RNSの繰り返し適用はNE濃度および流出量を各実験区間で同程度に増加させた。 CSの腎毒性発現の一因として腎交感神経活性の上昇が考えられているが、本結果よりCSは腎神経終末部に作用して伝達物質放出を促進するのではなく、より中枢側の部位に作用している、あるいは交感神経系を介さず血管平滑筋に作用する可能性が示唆された。また、外因性ETの作用との相違から、CSの腎作用は必ずしもET産生に依存するものではないと考えられる。
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