1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670091
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
斉藤 亜紀良 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40137708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
茂野 卓 埼玉医科大学, 総合医療センター, 助教授 (20170863)
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Keywords | エンドセリン / 脳血管れん縮 / 免疫組織化学 / エンザイムイムノアッセイ / 脳脊髄液 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
血管収縮ペプチドであるエンドセリンの脳血管攣縮発症との関わりを調べた。脳内出血患者の脳脊髄液中のエンドセリン含量をエンザイムイムノアッセイ法で調べると、脳出血後4-7日後に顕著に増加していることが認められた。これらの患者では適当な処置を施さないと、出血後7-14日で脳血管の著明な収縮(攣縮)をきたすことが知られている。そこでイヌを用いて血液を脳大槽内に注入する脳血管攣縮モデルを作製し、さらにエンドセリンの発現の時間経過を検討した。脳内に血液注入後から2日目まで脳脊髄液中のエンドセリン濃度が上昇しその後減少した。この時全身血液中のエンドセリン濃度に変化はないことから、局所におけるエンドセリン産生が高まっていると考えられた。この動物実験モデルでは血液注入後4-7日後に著明な脳底動脈の径の減少(攣縮)がみられた。免疫組織化学法でこのモデル動物の脳動脈におけるエンドセリンの発現を検索したところ、血液注入後2日目に脳血管内皮細胞にエンドセリン用免疫活性が出現していることが判明した。その後は顕著な血管攣縮が起こるため内皮細胞が破壊されている場合が多く、エンドセリンの発現は検索できなかった。前年度本研究で明らかにしたように、エンドセリンには脳血管を強力に収縮させる作用がある。エンドセリンが血管内皮細胞直下の内皮細胞に多く産生されていることは、クモ膜下出血後の血管攣縮の発症にエンドセリン用物質が関与していることを示唆している。
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