1991 Fiscal Year Annual Research Report
単一チャンネル解析による細胞内カルシウム動員機構の薬理学的研究
Project/Area Number |
03670094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 正光 東京大学, 医学部(医), 講師 (50133939)
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Keywords | カルシウムイオン / イノシト-ルミリン酸 / カルシウムストア / 人工膜 |
Research Abstract |
本研究では、IP_3によるCa^<2+>放出機構を持つ細胞内膜標品を調製し、それを人工膜に埋め込みその性質を単一チャンネルレベルで測定する。それによってIP_3によるCa^<2+>放出機構のIP_3農度依存性、Ca^<2+>、Mg^<2+>、ATPによるモデュレ-ションの様式などを分子レベルで追及する。本年度は、研究の第一段階としてまず測定系の確立を行なった。2つの液槽間を仕切るテフロン膜に開けた直径200μm程度の小さな穴に脂質二重膜を張り、それにイオンチャンネルを持った膜標品を隔合させることができるようにした。単一チャンネルの開閉は液槽間を流れる電流量によって測定する。液槽内の溶液はポンプを用いて変換できるようにし、チャンネルを活性化するためのIP_3、モジュレ-タ-であるCa^<2+>、ATPなど液槽内に投与できるようにした。チャンネルを流れる電流量はわずかであるので、実験槽全体をシ-ルドボックスに入れて外来の電気的ノイズをできるだけ除去した。また電流はパッチクランプ用増幅器を用いて増幅し、A/Dコンバ-タ-によって数値デ-タとして記録した。チャンネルの開口時間、コンダクタンスなどの実験結果の解析にはマイクロコンピュ-タ-を用いた。以上の測定系の準備は終了した。 研究の第二段階として、膜標品の調製法の確立を行なっているところである。人口膜を用いる実験法の最も難しい点の1つは標本の作成方法であるので、まず、実験方法が比較的確立されているウサギ骨格筋小胞体の膜標品を用い、IP_3チャンネル類似のCa^<2+>によるCa^<2+>放出チャンネルについて実験を行い、手技の確立を目指した。これにより単一チャンネル電流のCa^<2+>濃度依存性、植物アルカロイドのライアノジンによる開口固定などを観察することができた。さらに、ウサギ小脳から得られた小胞体標品を用いても同様のCa^<2+>によるCa^<2+>放出チャンネル活性を観察している。続いてできるだけ早急にIP_3チャンネルの実験に移る予定である。
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Research Products
(1 results)